地下迷宮.2
「……マーくん」
マナが、悲しそうに呟く。え、あの人マーくんて言うの?
猫たちが威嚇するので、取り敢えず止める。生理的に駄目な人っているよね。猫たちにとってそうなんだろう。もちろん、私もだけど。
見た瞬間、嫌悪感が強くなる。周りにいる変わった人たちの方が凄いマシだよ。
それは、トトちゃんも同じなのか。さっきから怒っている。
「てめー!マナを泣かせておいて、どの面さげてやって来やがった!
中身スカスカのムキムキヤロー!」
「ちょっと黙れ」
静かに言うと、裏拳をするマーくん。
「いて!マナをまさぐったその指でなにしやがる!」
「トトちゃん、静かに!」
マナは、恥ずかしくなってバタバタしている。
えー?あいつが元カレなの?マナ、趣味悪いよ。
「マナ、やり直そう?俺が悪かったよ」
なに、甘い声で話しかけてんの?キモいんだけどワロタ。
どうしよう、拳が勝手に……て、危ない危ない。
「……マーくん、駄目だよ。あの人がいいんでしょ?」
困ったようなマナ。えと、目を覚まして。
「大丈夫だ。今度はマナだけを見るから」
「うわっクズ」
「にゃあん」
「ふにゃにゃ」
「うにゃ~」
「ははは。ホントのこと言っちゃ駄目な?」
猫たちが同意し、ドロンがお腹を抱えて笑う。
するともちろん、マーくんは私たちを睨みつける。
「……また、お前たちか。うっぜ!」
カチン。でも押さえる。こんなでもマナの元カレだし。いや、元カレでホントによかった。
「クインさんをナンパしてた依頼ですね、マーくん……プッ」
私も意地が悪いなと思う。吹き出しそうになるのを分かってて口に出してしまった。
「あ?」
当然怒るよね?マーくんは、私の肩を掴もうとしたので、半身ずらしてかわすと、バランスを崩すマーくん。そのままひざでボディを蹴りそうになって止める。
あ、と。暴力はダメダメ。こんなことで解決してもマーくんと一緒になってしまう。
「……触らないでもらえる?」
「そうだぞ。マナに振られたからって、マキマキに変えてもいいことないぞ?こいつは、狂暴だぞ?」
「はいはい。取り敢えず私たちは、これからクエストだから、出直してくれます?」
「そうです。領主代理の息子様。私たちは、街の人のために戦うのです」
あ。サーナちゃん、怒ってる?
「てめ。ただの住民風情が、俺に意見……ちっ!どけっ!」
マーくんは、途中で口ごもると、遠巻きにしていたギャラリーを押しのけ去って行った。
サーナちゃんに凄んだことにより、住民たちが殺気立ったようだ。
きっと、サーナちゃんが扇動したら街の人全員引き連れて行けるのでは?敵に回しちゃいけない子だ。
「にゃん」
「えへへ。あんず、ありがとう。褒めてくれるの?」
あんずが、サーナちゃんの足元ですりすりしているよ。
私にも、すりすりしてほしいんだけどー。
「サーナちゃん、素敵!」
「あなたが、領主代理になってよ!」
「ハァ……ハァ……ぼくちゃんのことも叱ってほしい!」
相変わらずのサーナちゃん人気。たまに、変なことをのたまう人もいるけど、それはスルーしてと。
「さ、とっとと魔法覚えようぜ?」
ドロンが、扉のノブを掴もうとしたら、トトちゃんがキレた。
「待ちな!俺様に触れていいのはかわいこちゃんだけだぜ」
「なんだぁー?こいつは、作り直してやろうか?」
「わわっ!なにやってますの!止めるですの!」
マナのマスクメロンがトトちゃんにむぎゅぅてなって、でへでへしているよ。スマホで写真取って、変態と仲良くしてます、なう。
みたいな感じで需要………ないよね。
「こほん。気を取り直して魔法屋へようこそ」
「にゃあん」
「ふふ。あんずちゃん、よく出来ました♪」
覚えられる魔法。地下だから、明るくする魔法とかいいのかな?
「俺は、土魔法だけでいい」
なに、そのポリシー?どこから来るの。
「私は、どうすればいいかな?」
「そうですね。マキちゃんは、炎魔法がありますの?」
「うん。そうだね」
「親父殺しの魔法とかないのか?」
「ドロンは、黙ってて。なに、そのエロい魔法は?」
「ま、まあ、落ち着くですの。マキちゃんは、炎魔法と言っても私のと違って独特です」
「……そうね。攻撃魔法って言うか、格闘技を強化する感じだよね?」
「はい。まあ、その猫使いが関係してますの」
「ずっと、炎系な感じかな?」
「……まあ、転職しないなら?でも、この先は分かりませんので、適正を見てみましょう」
目の前に出してきたのは、水晶玉。インチキ占い師とかが持ってそうなイメージ。私は、占いとか信じないし。小さい頃に、街で占ってもらったら、家庭円満と出てキレそうになった。家庭円満なのにいつも、親がいない訳ないでしょってね。
「これに触れて見て下さいね」
「はいはい」
「にゃん」
あ、あんずが私の手に自分の前足を重ねる。触り心地良し。
つづく
あんずは、マキと遊びたかったんだよ




