時計仕掛けの迷宮.5
ブクマが少し増えていて嬉し。
ありがとうございます!
結構歩いたよね。なんとなく、琴美と一緒に入ったお化け屋敷もダンジョンみたいに立体迷路風だった。
遊園地に出来た新しいアトラクションで私と琴美と他何人かのクラスメイトと。私は特に興味が無かったけれど、琴美がクラスの男子にお目当ての奴がいたのだ。なんか、チャラそうだったから止めとけと忠告していたのだけど、遊園地で琴美が積極的にアタックすると、満更でもなかったのか琴美の肩に腕を回して歩いてるのを見て馴れ馴れしいと思ったものだ。途中で自由行動になると琴美はあのチャラ男と行動するかと思いきや私のとこに来た。きっと、ぼっちになる私を案じてくれたんだね。イケメンによだれを垂らす琴美だけれど、友達思いではあるから長く一緒にいるのかもしれない。
まあ、お化け屋敷でくっついたまま震えていたのには、しっかりしてとは思ったよ。うん。先に入ってたらしきチャラ男が、悲鳴を上げて抱きついて来そうになった時は肘打ちで黙らせたけどね。男らしさがなかったので、琴美はさっさと次のイケメンに乗り換えたけど。付き合ってはないよ。付き合ってる低の空想です。
「……マキちゃん!どうしたの?」
首をかしげて覗き込んで来る。サーナちゃんは、私がボーッとしていたので気にしたよう。
「あ、ううん。ちょっと昔のことをね」
「ははは!昔を振り返るほど、ばーさんになっちまったのか?」
からかうドロンを適当にあしらいつつサーナちゃんに微笑みかける。
「昔?マキちゃんて、そう言えばどこから来たの?アスタリスク?」
私の制服の胸ポケットの部分を見る。これはエレンさんがオシャレと言って着けたんだよね。竜王国アスタリスクだっけ。
「ううん。違うかな?これは、洋服屋で合成してもらったんだよ」
どう説明すればいいのかな?VRMMOと言っても分からないだろうし。うーん。
「ま、東方の国ってことかな?」
そんな国があるとも聞いてるしね。そうだ。そうしよう。
「もしかして、遊郭出身か?」
「ドロン、黙って」
「口より手を動かしなさい」
「スケベ……いて!」
遊郭あるんだ。なんでこいつはそれを、知ってるの。ともかく、口の減らないドロンをはたく。
「……あ、またですよ」
サーナちゃんの指し示す先には、また男子の姿がある。
それは、作業台でなにかを作っているよ。
そして、村人たちの嘲笑うかの噂話。
「キーノの奴。まだ、未練がましくプレゼントを送ってるらしいぜ」
「あいつ馬鹿だよな。静養にこの村に来たお姫様にからかわれたんだよ」
「結婚の約束までしたのに、すっぽかされたらしいぜ」
「それで、女々しくまだ、時計を作って送ってるらしいぜ」
「……かわいそう」
「……これだから、人間の数の暴力はですの」
サーナちゃんの悲しそうな感じとは別にマナは怒りを押さえてるようだね。なにかあったのかな。
「……これは、幻。なにをしたいのか知らないけど行こう」
私が促すと二人もうつ向いたまま着いてくる。気の毒ではあるけど、もっと明るいイベントにしてくれたらいいのに。変態ばかり出てくるんならね。
進むたびに影みたいなのが出てきては立ちはだかるので、ストレス発散です!
「なんで、帰ってくるんだ!この時計はあの人のために送った時計なのに!」
男の残像が叫ぶ。その時計こそが私たちをここに閉じ込めた時計である。穏やかそうだったのに何度も作業台を叩いているが、次の瞬間時計に吸い込まれた男の時計職人。
「吸い込まれましたよ!あの時計、やっぱりなにかあるんですね!」
「うん。魔道具みたいな感じなのかな?」
「でも、あの時計はあのキーノと言う人が作ったですの?」
「そうね。ドロンは……て、なにしてるの?」
私たちが、キーノの過去らしき映像を見ているのにこいつは、暇そうにあくびしてきょろきょろしているよ。
「そりゃあ、魔物が来ないか警戒してんのさ。だって、内容が暗いじゃん?明るい方がよくね?」
はあ。こいつには期待しないようにしよう。
「ドロンさんは、もっと真面目にしてください!」
サーナちゃんが頬を膨らませる。うん、かわいい。魅力チート。
「悪いな。ムカつくんだよな。普通に暮らして好きなことしてんのしさ。たかが、恋愛ごときでへこみすぎだっての!」
「そんな言い方酷い……」
サーナちゃんを抱き寄せて頭を撫でて上げる。酷いね。でも………。
「俺はな。俺たちは、クリエイターに作られたんだよ!仲間たちもそう!それだけで、変な目で見られてる」
そうか。ドロンたちなりの辛さがあるんだね。それでこの陽気さは凄いのかも。ムカつくけど。
「ドロン。サーナちゃんはまだ、子供だよ。しっかりしてるけど」
「………ああ。すまない。ついカッとなってしまったぜ」
いつもの調子で肩を竦める。だけど、声のトーンを落として言う。
「……言い過ぎたが、意見は変えないぜ。そんなことでへこんでられない。いつこの命が尽きるか分からないからな」
「そーなの?」
「ああ。そのクリエイターが今はどこにて、なんのために俺たちを造ったんだか知らないけど、奴の命が尽きたらおしまいだぜ」
ドロンはそう話すと歩き出す。ちなみにイベントの後は、どこかで音がするのでさっきの結界が解けたのかもしれない。
つづく
ドロンの家族は、血の繋がりはないけれど結束は固いんだって




