時計仕掛けの迷宮.6
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結局、扉の前まで戻ってきたよ。今度は扉に触ってもなんともないよ。
みんなに振り返り頷きかける。
「この先に、お宝があるかもだね!」
瞳をきらきらさせちゃって。やっぱり子供はお宝に弱いのだろうか。
今度はみんなで扉を押し開けると鈍い音ともに開いていく。
「ひろっ!」
思わず声に出す。中は、だだっ広い空間で、真ん中に大きめな古時計ごある。アンティークもの?
そして、その背後には牢屋みたいのがあって、村人らしき人達が捕らえられている。
「ひゅ~、ビンゴだぜ」
無造作に近づいていくドロンは、村人たちに手を振る。あいつ、がさつ~。
「やあやあ、みなさん。このドロンが助けにきたよ」
「お、お母さん、魔物がしゃべってる!」
「しっ!見ちゃいけません!」
あらら。哀れなドロンは魔物と思われたようだ。私たちはゆっくりと警戒しながら近づくと、あのでかい古時計はなんだろう?あんなにでかい必要ある?
「にゃあん」
「あ、猫ちゃん!」
「かわいいね!」
「うん。うちのお姉ちゃんよりかわいいな!」
「なんですって!」
「ははははは!」
あんずか鳴いて、子供たちを和ませる。
「あの、冒険者ギルドから派遣されて来ました」
「おお!助けが来たぞ!」
「ホントだ!助かったよ!」
「その制服素敵!かわいいね、おねえちゃん!」
「ホントだぜ。興奮する!」
あんたは、黙ってて。エロい目で見る村人を睨む。
「あのあの、一体なにがあったですの?」
「聞いてくれ、そそるお嬢ちゃん。村長の奴だ。あいつがみんなに時計を見せた途端吸い込まれて、こんなとこに閉じこめられたんだ!」
一人だけスケベ丸出しの村人がいるようね。今は、助けるの優先だから、どつかないけど。
村長ってことは、外にいたあの人だよね。どう言うことだろう?
「それと言うものキーノ!てめーが、こんな時計を作ったからだ!」
みんなが一斉に部屋の隅にいた男の人を指差す。それは、あの映像に出て来た人。そっか。この人か。
「す、すまない、ピロリーノ」
ぷ。誰か吹き出したと思ったらドロンだった。気持ちは分かるけど駄目だよ、それ。
「貴様が、身分違いの恋なんかにうつつを抜かさなければこんなことにはならなかったんだ!」
「ピロピロ、そりゃ言いすぎだぜ?」
「ふにゃあ!」
あんずも一緒に怒っている。うん、怒っていいよ。
「なんだと!?泥まみれ野郎!振られて未練がましく時計なんぞ送りつけてこの様だ!俺たちを巻き込むんじゃねぇ!」
「それは、言い過ぎですの。キーノさんはきっと、その好きな相手を思って作った時計ですの!」
「黙ってろ、ちびすけ!」
「むー!」
むーってマナは私より年上でしょ。ムカつくけどさ。この世界にパワハラとかないんだろう。でも、あんまなんでもかんでもパワハラ言いたくないので、それでいい。
「そりゃあ、数の暴力で一人を攻める村からクインさんも出ていくよね」
ホントにそうかは分からないけど、一言言わせてもらおう。
「あの都会に憧れて出ていった女か」
ピロピロが、ふんと鼻を鳴らす。そして、狙ってたのにと呟いたので、村を出てって良かったねと私は思った。
「クインは元気か?」
「キーノさんの知り合い?」
「俺の妹だ」
「そうだったんですか。元気にやってるよ」
「……あいつには迷惑かけた。俺の時計が売れないもんだからな」
「語りだしたですの」
「ふにゃん」
あんずも退屈そうに毛繕いをしている。まあ、猫だからね。
そこへ、背後の古時計がゴーン、ゴーンと音を鳴らす。
「なに!?」
「3時のおやつか!?」
「そんなわけないでしょ!」
私たちは油断なく身構えると、古時計から誰かが出てくる。
スタッと着地したものの足が痺れて動けない。え?らなにこいつ。まぬけ?
「またあいつかよ!嫌だよなー!」
「皆さん気をつけて!」
ピロピロに続いてキーノが注意する。ヤバイ奴なの?
あんずも警戒してか毛を逆立てた。こわかわいい。
「おい、なんだてめーは?ぼすなのか?ボスだよな?」
「ドロンさん、うるさいです!警戒して下さい!」
サーナちゃんに怒られているよ。でも、その突然現れた奴はゆっくりと起き上がる。なんだろ?角の生えた白い肌の奴。ゲームとかに出てくる悪魔的な?こう言う奴ってどうして上半身裸なんだろ。筋肉自慢?
「なんだ?あの男が放り込んだのか?」
「あの男?村長のこと?」
「……貴様は迷い人か。いや、あの魔女に唆されたものか」
迷い人?魔女?この裸族なに言ってるの。無防備だけど隙がない。
ドロンもそれを感じ取ったのか、大人しく泥団子をせっせっと作っている。
「……まあいい。この時計の迷宮を知ったものはここからは出さぬ」
「いや、そういうのはいいから。サーナちゃんがビビってるから怖がらせないで」
サーナちゃんは私の服の袖を掴んで離れない。安心させるために頭を撫でる。
「サーナちゃん、いける?」
「い、いけます!大丈夫です!」
小型の鉢植えを持って魔法を使えるようにしている。この魔物は何者なのだろうか。
つづく




