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にゃんにゃんのおうち.3

「……なるほど。つまり、猫たちのお家をどうにかしたいと?」

パンケーキを食べ終えたクインさんは、考えに更ける。さりげなく三枚目のパンケーキ。良く食べる人だ。

そして、その素敵なスタイルは良く保たれている。


猫使いは、今まで見たことのないレアな職業。その能力としては、猫とフレンドリーになりやすいことと、猫ゲージを溜めて必殺技を使えると言うこと。

「……アイテムボックスと言うことも考えたんだけど、味気ないと言うか……」

今も、猫たちはこちらの邪魔をしないように遠巻きにジッと見ている。

私が、家で寝てる時は猫たちはどこかで、寝ているのだろうからね。それが気になっていた。

暗いアイテムボックスに入れたくないから。



「………それならば、一軒家とか」

「いや、無理です。宿暮らしなので」

銅貨は。ちくちくと貯まってはいるものの一軒家の相場はギルドで調べたのだ。高い。

「それなら、アパートとか」

「アパートですか」

一人暮らしは憧れです。でも、その相談をこのゲーム内でするなんてね。

「短い期間で借りて、強くなって経験値が少なくなったら、別の土地に引っ越すとかね」

ワイングラスを傾けながら、クインさんは言う。あれ?いつの間にお酒頼みました?

「……そう、ですね」

確かに、レベルが上がるとこの近辺の魔物からは経験値が入らなくなって、強くなりたいなら他所の土地へ行かないと。でも、サーナちゃんと別れがたい。あの子は凄いけどまだ、子供だからだ。連れて行くには危険だしね。

「……も少し、考えてみます?」

言いかけたときまた震動。誰かの貧乏揺すりじゃない……よね?

「きゃっ!?」

テーブルもガタガタ震えて、お茶とか溢れてムカつく。なんなの!?

他の客もイラついてるよ。これは、自然現象なのかな。

「大丈夫、マキちゃん?」

「はい、大丈夫です。クインさんも大丈夫そうですね」

「……ええ。この揺れの調査はゲインさんが地下に潜って調べているのだけど実は、まだ戻ってないの」

「……なんだか、心配ですね」

変わった格好した人だったけど、心配は心配である。

「まあでも、明日、別のパーティーが応援に行くからそれ待ちかな」

「……そうですか。それで?」

「それで?」

「いえ。クインさんが浮かないのは、それだけではないのかなって」

「はは。やっぱり分かります?バレないよつにしていたんですけどね」

疲れたように苦笑するクインさんは、迷いつつも話してくれた。

「……私の村と、連絡が取れないの」

毎月手紙のやり取りをしていたのだけど、最近は手紙を送っても返事がないんだって。

「それは、大変じゃないですか!?配達の方は無事なんですか?」

「それが、音信不通で。休暇をもらって、帰りたいとこなんですけど、この揺れの調査をなんとかしないと行けませんし」

「……分かりました。私が見てきますよ」

「でも、マキちゃんたちになにかあったら……」

「そうは言っても私、冒険者ですから」

そう。危険はつきもの。それにこれは、ゲームだから。なんとかなるかな?死んだら外に出られるかもと思いつつも、怖くて出来ない。

それに、あの退屈な毎日は苦手だよな。

「……分かった。そこまで言うなら、依頼を受理します。後、パーティーも用意して置くわ」

「え?一人で行ってきますよ」

サーナちゃんが無理かもしれなかった場合は、ダッシュで行ってこよう。そしたらすぐだよ。

「駄目です!いくらマキとゃんが強くても、しっかり準備をしなきゃ駄目ですよ」

「……はい」

真っ直ぐに見詰められて言われると、そうするしかないかとも思える。それにしても、物騒な世界だ。のんびり景色の良い場所を散歩できると思ったんだけど……あ。そっか。私がもっと強くなれば、魔物のことを気にせず散歩出来るよね。ね?


「とにかく、明日またギルドに来てください」

クインさんと別れて、宿屋に戻ると事情を説明するよ。あ、サーナちゃん泣かないよね。瞳がうるうるしてるよ。

「……マキちゃんが、ここを出てくの、やだな」

それで、私にしがみつくので、頭を撫でて上げる。妹みたいかな。温もりが安心する。

ロッカーさんをチラリと見て訴える。

「……つまり、猫の部屋がほしいのか?」

「ええ、そうなんだ」

「……ついてきな」

ロッカーさんの後を着いていくとそこには、宿屋の裏口から外へ出る。

そこには、小さな建造物。ここは?

「ここは、倉庫だ」

確かに中は薄暗く色んな物が雑多に積まれているものの、奥は広く窓からは星明かりが差し込んでいる。

換気が出来るのはいいよね。うん。埃っぽいから明日、掃除したいけど、帰ってからかな。

あんずが、肩から降りて、倉庫内の中の臭いを嗅いではくしゃみをしている。


「……しばらくはここを使っていい……おっと」

「パパ、大好き♪」

「おう。まあな。任せときな」

照れてるなこのおっさんは。て、感謝する態度じゃないか。

「……ホントに使っていいの?」

「ああ。まあ、掃除は自分でしてもらうけどよ」

「ええ。ありがとう、ロッカーさん」

「掃除をするなら私も手伝います!一緒にがんばろー!」

「あ~、それなんだけど」

私は事情を説明するよ。クインさんの依頼について。

「そっか。掃除は帰ってからだね」

「えと。危険かもしれないから、サーナちゃんはここにいて」

「お断りします。だって私たち仲間だよね?それとも、足手まとい?」

「そうじゃないよ。でも、もしなにかあったら……」


「マキ。連れて行ってくれ」

それは、思いがけない言葉で。親なら心配すると思うけど。

しかし、ロッカーさんは、こんな揺れの激しい場所にいるより、マキと一緒にいた方が安心と考えたようだ。

「それはいいけど、危険だよ」

「まあな。マキも冒険者になったんだ。それくらいの覚悟は身につけてもらわないとな」

ロッカーさんが、デレを止めて鋭い目で見て話す。現実世界のおじさんたちより厳格かもね。そんなこと言ったら失礼かも。でも、年頃の娘に言いくるめられてるイメージがあるからな。

「……パパ、マキちゃん。私は泣きながらでも逃げないよ……それに」

「ん?」

「マキちゃんと一緒に冒険だもん。わくわくするよ!えへへ♪」

その天使の微笑みにズキューンとハートを貫かれる。かっわいいな~。街の変態たちが優しくするのも分かるよ。勝手に全員をロリコンだと思ってる私は失礼かも。でも、それくらいの方が、変態から守れるしね。

「にゃん」

あんずも、一緒に旅が出来て嬉しいのか、サーナにスリスリしてる。

「あんず、よろしくね♪」

「ふにゃあん」

鼻の頭を撫でられてご満悦ね。


「ま、この街の揺れに関しては、どうしても手に終えないようなら、俺がクランツと調べるさ」

そう言えば、冒険者ランクBだっけ。手合わせした限りではAでもおかしくないけどね。



「そうだ。魔法屋には行ったか?」

「魔法?いえまだですね」

今のとこ必要としてなかったけど、念のため行ってみようかな。ふと、外を見ると猫たちが入り口で待っている。うんうん。もう少しだけ待ってね。猫の視線の圧力すごっ!



つづく

真姫ちゃんは、のんびり自然を歩きたいんだけど、根が真面目だからつい、ギルドの提示版を見て依頼を受けちゃうんだよ。

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