エルフの依頼.4
うん。書くの難しいよ
いや、もう。こいつ、強い。簡単な依頼かと思ったんだけど、アラクネルより強いなんてね。
トパーズの放つ矢が、的確に私を狙う。それを右に左に避ける。掠めたりもするけれど、制服に傷はない?あのお店いい仕事する。
「貴様のチラリズムなど、効かんぞ!」
「エロ親父」
「エロ親父ではない!確かにエルフは長生きだがな!」
そして、無駄のない動きで、三連射するので、右にステップ。軌道を変えて襲ってくる?それらの矢を手甲で弾き蹴りで叩き落とす。
「……ふん。やるじゃないか。人間の分際で」
あれ、この憎々しい態度、デジャブ?もしかして家族パターンかな。構えを崩さずに問いかける。
「あなた、エメラルドの知り合い?」
「……まあな。エメラルド
ガーネットとは同じ森の出身だったよ」
共に遊び、共に勉強や鍛練をしてお互いを競い合った。あ、なんか語り出したよ。悪者の身の上話しはどうでもいいよ。
「……それが、どうしてこんなことを?」
サーナちゃん、悲しそうに続きを促す。あ、続きを聞くんだ。きくぞうさんなんだ。
「にゃあ?」
二人?には、人質たちの護衛を任せている。相手が残り一人なら、数で押せ押せは好きくないので一対一にするのです。
「……それは、どうでもいいだろ。森を出たことなんて。ただ、あいつら。再会した時に洋菓子店を開いてやがったんだ!俺は、和菓子派なのに!」
「……………えと?この人なに言ってるのかな?」
私の問いを無視して、熱弁しているよ。だから、一気に間合いを詰めて仕留める。
「!貴様!俺はまだ喋ってる途中だぞ!薄汚い人間!!」
カチーン!接近して打ち合う私達。こいつ、遠距離攻撃得意なはずなのに、接近戦もいける?おかしな人なのに。
私の拳をちゃんと受け流してる。そして、私のミドルキックを、跳んでかわして矢を空中で放つのを、私はバックステップで避ける。距離が空けたとこで更に放つ矢の乱れ撃ち。勘弁して!こちらも、乱れ打ちで叩き落とす。
「……やるな、貴様。名前を聞いておこう」
「……マキだよ。盗賊さん。もったいない。もったいないよ!あなたほどの実力者がこんなことするなんて!」
「…そうだな。奴が実は洋菓子店を始めていたなんてことはどうでもいいんだ。それでも俺は和菓子派なんだ」
ホントにそんな理由でなにしてんのこの人?
しかし、うつ向いていたトパーズに殺気が宿る。
「森を焼いたのが人間どもで!同族は森を捨てて逃げ出したんだぞ!それで、のうのうと洋菓子店だと!?赦せるか!」
「ええ!?」
それは、今までで一番速い射速だった。
トパーズのスキル発動!流星之射撃!
こんな時だけ、説明ウインドウ。ログアウト出来ないのにね。
流石にこれはかわせないので、あえて踏み込む。これは、私のスキル当たり屋。いつの間にこんなスキル。
矢のダメージを食らいつつ、トパーズに体当たり!
当たり屋―相手の攻撃を食らってもノックバックを僅かに防ぐ。
チラリズム―相手が男の場合、スカートに視線を釘付けにして隙を生ませる。
「ぐわあああああ!?まさか、この俺が!?薄汚い人間共に負けるだと!?」
大往生だね。こっちも疲れたよ。変なスキルも覚えたし。
「マキちゃん、大丈夫?」
サーナちゃんがとてとてと近づいてきて、魔法を唱える。
「葉の雫!」
それは、癒しの魔法。緑の光りが私を包み頬の傷が治る。うわっ!便利。現実世界にもあればいいのに。
「ありがとう、サーナちゃん」
「うん。後に残らなくて良かったよ」
「さて、と。」
見回すと、人質に取られてた人達も、運搬用の馬車も大丈夫みたいだね。
「君たち、ありがとう。荷物を、取られていたらあの恐いエルフに縛られてムチで叩かれていたよ」
心底ホッとしたように配達人は感謝を述べる。あれ?良く考えたら護衛とかいないのかな?
「あの、護衛とかいないんですか?」
「それが、こいつらが来た途端、逃げ出してしまったよ」
うつむき悔しそうにしてる。それは、なんと言えばいいのか。
「葉の雫!」
縛った後で、トパーズにも癒しの魔法を唱えるサーナちゃん。
「……君は、もしかして……いや、まさかな」
サーナちゃんを見て、なにか考えてる。この人もサーナちゃんの魅力に取り憑かれてるの?
「……どうして、こんなことしたの?」
「……ふん。私が大好きな和菓子を買いに行って戻って来たら、故郷は燃えていたよ」
「そんな、酷い!」
サーナちゃんは、口元を押さえて今にも泣きそうだから、抱き寄せて頭を撫でて上げる。
「……村人は逃げ出したのか行方知れずのまま……呑気に洋菓子店なんてやっているエメラルドとガーネットを見て腹が立ったんだ!人間が、あの森を焼いたのに!」
「………」
なんて言っていいか。いや、花のJk生活していた私にはなにも言えないし。だけど、嫌がらせしていい理由にはならないよ。
「……戻ろっか?」
「はい」
「にゃあん」
配達人にも手伝ってもらって盗賊たちを縛っていると、サーナちゃんは首をかしげた。
「あれ~?」
「どうしたの?」
「このマーク……あれかなぁ?」
盗賊のフードに印されたお団子のマークのことかな?
それは、街にある和菓子屋のマークで、みたらし団子が絶品らしい。
そうか。そうだったのか。和菓子もいいかも……じゃなくてもしかして。
まあ、いいや。荷馬車に乗せてもらいゆらり揺られて帰ることにする。飛脚の靴で飛ばしてきたから分かんなかったけど、オルトテスまで一日はかかるみたい。ゆっくり行きますか。
こんなに走るんじゃなくて、のんびり散歩したいな。
つづく
馬車の馬は、可愛い子を乗せて上機嫌なんだよ




