のんびり依頼を.4
昨日はアクセス多かったです。ありがとうございます!
「はい、依頼達成ですね!お疲れ様です!無事に帰って来て良かったです!」
受付のクインさんは、にこりと微笑むと報酬の袋を渡してくれた。うん。銅貨15枚だけど、報酬以上の価値はあるよね。サーナちゃんと仲良くなったしね。
「さて、ロッカーさんのとこ行く前に依頼見ていい?」
「はい」
睨みつけるゲインのことはスルーして、提示版を眺める。犬のぬいぐるみを動かさないの。なんだか私って睨まれてるけど、嫌われてる?
まあ、興味ないんだけどね。ダンジョン潜ったから少しのんびりした依頼がいいな。
提示版には、様々な依頼がある。家の掃除や、店の手伝いなんてのもあるよ。これは、バイト的な感覚かな?薬草採取や、魔物退治はいつものことで。後は、護衛とか。
「薬草採取行ってみる?」
確かそれで、薬師に買い取ってもらってたって、言っていたよね。
「いいの、マキちゃん?」
「うん。それに、のんびりした依頼が……」
いいと言おうとして、震動が地面から来る。それは、僅かなことだけれど、冒険者たちもざわつく。
「なんだってんだ!俺のぬいぐるみたちも悲鳴を上げてるぜ!」
グイン、それはあなたが力強く握りしめているからだよ。意外と繊細な人?
「す、凄い揺れだったね~」
胸元を手で押さえて、ほっと一息。そうだね。どこに行っても自然現象は怖いんだね。
「にゃあ~」
「あんず?大丈夫かな?」
「にゃん」
今の揺れで、ピンと尻尾を立てて目を丸くしている。
そう言えば、街の猫たちもなにか訴えかけていたよね。
でも、残念ながら、猫使いなのに言葉が分からないけど。
ともかく、薬草採取と、その辺に出そうな魔物退治の依頼を受けて見る。それは、隣の村での依頼になっている。そこで詳しく話しを聞いてくれってことね。報酬は少ないけど、散歩……もとい、ピクニックがてらと思おう。
「なんでぃ?そんな簡単な依頼を受けるのか?」
グインが、パンダのぬいぐるみを顔の前で動かしてる。止めてくれない?
「いいでしょ?依頼は依頼だし」
「俺みたいにバーンと沢山受けないとだな~」
ちらりと見えた依頼書は、地震の調査か。ま、頑張ってね。
「退いてくれる?」
にこりと笑いかけると、おおと、ちょっとビビった感じで道を開けてくれたよ。
「はい、確かに。二つで大丈夫ですか?」
クインは、念のため確認してくるよ。そうだね。私って一応初心者だし。
「大丈夫ですよ、マキちゃんなら」
「あら、随分と信頼されてるわね、サーナちゃんに」
「えへへ。マキちゃんは強いんですよ」
「そっか、そっか。なら大丈夫かな」
どんだけ、信頼されてるの、マキちゃん。依頼を受けて立ち去ろうとすると、冒険者たちから声がかかる。
「サーナちゃん、頑張れ!」
「おい、マキ!サーナを守れよ!」
ああ、もう。うっさいな~。サーナちゃんは、声をかけられる度にぺこぺこしている。赤べこ?
外に出て、宿屋に行こうとすると、例によって近所のおじさんが近寄って来た。
「…おお……中々の制服だ…うん……うん」
おじさんは、私を上から下まで眺めると満足そうに頷く。しかし、この人。動きがただ者でないのかな。一瞬の内に間合いの内側に入って来たんだよね。
「お嬢さん。いいかい?」
「は、はあ」
「最近は、この辺も物騒だ。その制服で、サーナちゃんをしっかり守っておやり」
「そ、そうですね、おじさん距離が近い」
制服じゃなくてもいいでしょ。なに、この人。まあいいや。学校帰りによくエロい目でナンパしてくる人よりは、不快に感じないから。
「あはは。相変わらずだね、おじさん」
「サーナちゃん。笑い事じゃない。君もいつか大人になったら…」
「はいはい、またね」
変態さんの話しを遮って、サーナちゃんの背中を押して行く。
全く。まともな人はいないのかな。
「……そうか。サーナが冒険したいと言うなら止めない」
腕組みしつつロッカーさんは、頷く。なんか、ものすっごく我慢してるよね。まあ、そうだよね。娘を危険な冒険にやりたくないよね。
「いいの、パパ!大好き♪」
サーナちゃんに抱きつかれて満更でもない。いや、デレデレしないように我慢してるよね?
「ただし、だ」
そこで私を、ぎろりと睨みつける。花のJkを、睨みつけるとは。しかし、今までのだらしない父親像を払拭するくらいの圧力を感じる。
「サーナを守るに相応しいか試させてもらう」
「ええ!?」
言いたいことはなんとなく分かる。ステータスは高いけど、初心者であることには変わりないか。
「パパ、そんなことするなら、もう一生口聞いて上げないもん!」
そっぽを向くサーナちゃんは、かわいい。なるほど。可愛い子は怒っても可愛いんだね。
「ええ!?そんな!だったらそんなことしないよ~」
「………」
待て。サーナちゃんに弱すぎるよ。今の圧力はなんだったの?
「いいよ、ロッカーさんの言い分はもっともだし」
「でも、パパはこんなでも、元Bランクの冒険者だよ?」
「そうなんですか?人は見かけによらないですね」
「失礼だね、綺麗な顔して……まあ、いい。ついてこい」
ロッカーさんに案内されて、外へ出たら誰かとぶつかった。
そいつは、猫と遊んでいた時に犬の散歩していた身なりの良い若者。
そいつは、かおをしかめるとロッカーさんに文句を言う。
「こら、じじい!気をつけて歩きな!俺様の服が汚れただろうが?」
「これはどうもすみません」
さっきまでの強きな態度ではなく丁寧に謝る。ま、客商売だからね。サーナちゃんも頭を下げている。知ってる人?
犬はかわいい毛むくじゃらなのに、ご主人様は態度悪い感じだね。
あんずと毛むくじゃらがアイコンタクトであいさつしている。
それは、なんとなく分かるのは、猫使いだからかな?
「ふん。きぃつけな。でないと、そこの看板娘がどーなっても……」
駄目飼い主が言いかけてる途中で胸ぐらを捕まれているよ。
「おい。うちの娘に手を出したら、いくら街の代表の娘だからって容赦せんぞ」
ドスを効かせて睨みつけると、ビビってるよ。てか、この駄目飼い主、街の代表の息子だったんだ。駄目じゃん。いずれ、上に立つ人がそんなでは。
「あひぃ!お、覚えてろよ!」
いや、忘れます。駄目代表は、犬を急き立て行ってしまう。あのワンちゃんかわいそうに。
つづく
犬も飼い主選べなくて嘆いてるから吠えまくってるんだよ。




