のんびり依頼を.3
サーナちゃんも復活したので、サーナちゃんと待ち合わせてからお昼へ。たまには外で食べようと言うことなので、他の食事処へ。
「ここ、美味しいんですよ~」
それは、どこか和風な家を思い出させた。古民家、古民家。
昼を少し過ぎたとかで、混んでなさそう。入ってみるとこれは、和のデザイン色に思わず立ち止まる。
「マキちゃん?どうしたの?」
「あ、うん。なんでもないよ」
「いらっしゃいませ!」
あんずも大丈夫とのことで、着物を着た人に案内されて、窓際のテーブルへ。
わくわくして、メニューを眺めるとそれはもう、知ってる和食の名前があるよ。これは、ゲームを作った人に感謝かな?
「えへへ。月に一度、パパがご褒美に食べさせてくれるんだよ~」
「それじゃあ、ロッカーさんと来た方が良かったかな?」
「ううん。マキちゃんと外食は初めてだもん。こっちが優先」
「そっか。さ、たのもたのも」
「うん♪」
ロッカーさん、泣いてるかもね。メニューを見ても、馴染みの和食メニューがある。じゃあ、日本に似た国もあるのかもね。
それぞれ注文を店員に頼んで、話しを聞いてみる。
「和食の出所ですか?」
出所って。まあ、そうなんだけどね。
「東方の島国からって、パパに聞いたことありますよ」
「そっか。私の出身地の料理に似てるんだよね」
「そうなんだ。マキさん、東方の島国から来たの?」
「うん、まあ。そんなとこかな」
そこが、日本ではないことは確かだしね。ゲームのそととも言えないし。適当に濁すしかないな。
「お待たせしました~♪」
サーナちゃんの刺身定食と、私の麦とろ御膳。そして、あんずも焼き魚。
「さ、サーナちゃんの快気祝いと言うことで、たくさん食べてよ」
「そんな、快気祝いだなんて、大げさだよ~。それに、自分の分は出すよ」
「子供が遠慮しないの」
「……えへへ。では、遠慮なく」
「いただきます」
「いただきます」
二人で、声をハモらせて食べる。何度も来てるから箸の使い方も綺麗だから、やっぱりサーナちゃんの万能説だね。
美味しいので、食べるのに夢中になっちゃった。しかも、ご飯と味噌汁のおかわり自由。やったね。
「はあ~!美味しかった!」
「ホントにね!ご馳走さまです」
「いえいえ」
しばらくは、りょくちゃを飲みつつまったりと過ごす。あんずもご満悦なのか、毛繕いに余念がない。
ふと、店内を見渡せば、日本とは違い街の人や冒険者。そして、商人と職種も種族も様々なので、日本とは違うなと思う。退屈と感じていた世界。それでも、ちょっと切なくなるのは何故かな。
「マキちゃん?なんか、寂しそうだよ」
「ううん、なんでもないよ。ちょっと里心?」
「……マキちゃんは、冒険者になったんだからいつでも旅して、帰ることが出来ますよ!」
なんて良い子。励まそうとしてくれてるんだね。
「うん、ありがとう。そうだ、これからのことなんだけど」
「……これから?」
ギルドに依頼報告したら、サーナちゃんは、パーティーから抜ける。まちろん、その方が安全なんだけどね。
「サーナちゃんさえよければ、時々一緒に冒険しない?」
「え?いいんですか?私、マキちゃんの足手まといになってない?」
「ないない。サーナちゃんの成長はこれからだよ。私より強くなっちゃうかもね」
少なくとも、魅力はカンストしてるよね。うん、私よりも。
「……マキちゃんと一緒に冒険したいかな。もちろん、宿屋の仕事もあるから、たまにだけど」
ロッカーさんの仕事ぶりが悪いと言う訳ではなく、でも、サーナちゃんの看板娘としてのスキルが大きく貢献してもいるのです。
「もちろん、パパがオッケーしてくれたらだけどね」
「よし、決まり。取り敢えずギルド行こっか?」
「は~い」
私たちが、宿を出ると猫たちも寄ってくる。
「にゃん」
「にゃ~お」
「はいはい」
お店で、テイクアウトしたササミを、猫たちに上げる。
美味しそうに食べてるのを見ると心がなごむ。
もちろんその後、掃除してから帰ったよ。
その後、ギルドへ行くと、みんながサーナちゃんに群がって来た。
「サーナちゃん、大丈夫か?」
「みんな、心配してたんだよ」
はいはい。凄い人気だね。私が微笑ましく眺めていると、一人の冒険者が絡んできた。
「貴様か。サーナに熱を出させた挙げ句、新しいダンジョンを見つけて荒稼ぎしたのは?」
なに言ってんの?このムキムキは。
薄汚れたローブを身に纏い着ぐるみを持っている。アンバランス?あ、ぬいぐるみ使いかな?クランツさんと言いこの人と言い、どんだけサーナ?
「あ、あの、ゲインさん。マキちゃんはなにも悪くないよ?とってもかっこいい人なんだよ?」
「ほう?みんな大好きサーナちゃんにそんな言葉を言わせるとはなぁ!そんなに言うなら俺とパーティー組んでみろ!」
「嫌です。後、顔近いです」
しかも、酒臭い。どうしよう。デコピンしそうになったよ。
怒りで、ぷるぷる震えてるよ。ドロンといい、あのおこりんぼうのエルフと言い、癖が強いなぁ。
「なんだと!?この俺とパーティーを組めるんだぞ!?Dランクの依頼を受けることが出来るんだぞ!」
Dかよ。腕にはめた犬のぬいぐるみが口をぱくぱくしてるよ。かわいいけど、持ち主はいかついおっさん。
「ゲインさん、怒っちゃ駄目ですよ!」
「す、すまねぇ。この俺としたことがよ。彼女にフラれて気が立っていたんだ」
ロリじゃなかったんだね。ごめんね。てか、彼女いたのね。ごめんね。その、色々とごめんね。ホントにごめんね。
つづく
ゲインの元カノは、ゲインさんに戦士でいてほしかったんだよ。
ぬいぐるみをいつも、持ち歩いていてはずかしかったんだって。




