のんびり依頼を.2
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「な、なにおじさん?」
ドワーフは、私の右手をつかむと、まじまじと切り裂きの小手を眺めているよ。
「……こいつは、この辺では見ない武器じゃの」
なんか、瞳をキラキラさせているのはいいんだけど、凄い力。動かない。
「……あの、離してくれる?」
「お主、これをわしに鍛えさせてくれんかのう?」
アップで顔を近づけないの。てか、あなた誰なの?
酒臭い息から逃れようとする私の手を引っ張ってどこぞへ連れていく。
え?え?なに?なに?ドワーフが私を強引にアプローチしてるように見えてなければいいんだけど?
ん?いつもなら後を着いてくる猫たちは普通だから、変人でも怪しい人ではないのかな?
「にゃにゃん?」
あんずも首をかしげるばかりだよ。かわいい表情はいいんだけど、助けてくれないの?
連れて行かれた先は古びた屋敷で、屋外にいくつも武器が、飾ってあり、内部にもたくさんの武器防具がある。
「あの、それよりそろそろ離してもらえるかな?」
ロリコンさんと、心の中で呟く。情熱的にも程があるアプローチ。問題はあるけど、嫌いじゃなかったりする。あ、私も変な人かな?
「おお、すまん、すまん。なにせ、良い武器を装備して、一軒王都の学生服を模したものをコスプレしているが、この服も中々良く出来ている」ドワーフは、まじまじと私の武器と制服を眺めてうんうんと頷いているよ。なんだ。私じゃなくてそっちね。ホッとするも、大通りにある武器防具店より、やる気が感じられるかな。裸エプロンは駄目だよ。
「おじさん、誰なの?」
「……おじ!?まあ、人間からすればおじさんか。わしは、ガレフモキア。この『耐えず駆け抜ける猪』店の店主じゃ」
「武器と防具の店?」
「まあ、そうじゃの。他にも合成をしておる」
「私はマキ。ども、です」
「やはりそうか。あの森のダンジョンを一日で攻略しおったにゃんにゃん嬢は」
なに、そのあだ名。はずっ!でもまあ、猫を連れているのはホントなんだよね。
「それで?私を強引に誘っておいてなにか用ですか?」
「ふん。わしは、ガキに興味はない。その、籠手に興味があるぞ!」
おい。私の手をつかみ鼻息荒く見ている。失礼な人だ。この街の人って、変な人多いよ。
「ぜひ、合成させてもらえんかの?」
そんな子供みたいに瞳をキラキラさせられたら、断りづらいんだけど。ま、いいか。減るもんでもなし。減らないよね?
「分かった、お願いするよ」
「ホントか?後でおあずけはなしじゃぞ!?」
いや、しませんよ。なに、おあずけって?切り裂きの小手を外して、テーブルに置くのを見て、頬擦りしそうなほどガン見している。
私は、皮袋から合成用の魔石や素材を出すよ。
「ふむふむ。これは森の迷宮での素材かの?いらん素材はここか、ギルドでも買い取ってくれるぞ」
「うん、そうだよ。後、ウルフの素材がたくさんなの。どうにかならない?」
「ふむ。これらより森の迷宮で手に入った素材の方がいいからの」
弱い魔物より、強い魔物の素材を合成した方が良い物が出来るんだね。
「まあ、人の心と同じくどうにもならないこともある」
なに、上手いこと言ったみたいなドヤ顔してるの?まあいいか。腕が良いならそれで。
「……合成って高いの?」
現実世界でも、無駄遣いはしないたちだった。いや、あの頃は今より無関心だっただけか。
「まあ、人間の合成屋よりは、高いが、わし、合成スキル高いからの」
「そうなんだ」
まあ、ラノベとかでもドワーフの鍛冶職人て良い仕事する感じだし。
「でもまあ。強引なわしじゃったからの。負けておこう」
「それは、ありがとう……!?」
また、震動!?地面がドトドと揺れているのだ。地震とは違う感じ。人工的な気がする。知らんけど。
ドワーフは、特に動じた風もなく小手と素材を守る。
しばらくすると、すぐに収まる。ああ、これはなにかのフラグかな?
「全く、地の精霊が暴れておるのか。それとも、魔族が悪巧みをしておるのか」
「……ガレフモキアさん」
「ガレフでよい」
「私もマキで。んで、ガレフ。魔族ってどんなの?マゾ、のクさん?」
「なんじゃ、そりゃ?クさんなんて知らんぞ。ふむ。お主は人間の子じゃから知らんか」
もじゃもじゃの顎髭を撫でながら話すのは、過去の争い事。
地の底に住む魔族は、昔は地上に住んでいたものの、他の種族と争いが絶えない暴れん坊だったので、地の底に押し込まれたと言う。
それを成したのは、光の女神。しかし、たまに魔族は、光の女神の結界が緩まった時に侵入して少しずつ数を増やして来たのが、魔物とも呼ばれているそうです。
光の女神様。どうか魔族と関わらないでのんびり冒険出来ますように。
「……ま、でも。ここんとこの地震は、魔物が駆け回ってるのかもしれんの。気になるならギルドにでも寄って見るがいい」
「うん、そうする」
「そうじゃ、合成が住むまで2、3時間じゃが、代わりの武器を貸そうか?」
「あ、これがあるよ」
皮袋から取り出したのは、拳士の手甲。威力だけなら、こちらも引けを取らない。
「ふむ。それとこっちの切り裂きの小手を合成するか?」
「そんなことも出来るの?」
「うむ。スキルがある場合は、受け継ぐことが出来る。ただし、三つまでじゃがの」
「……それなら、お願いしようかな?」
「まあ、銀貨一枚じゃが、負けておこう」
「ありがとうございます」
相場が分からないけど、お礼は行っておく。礼節は大事。でないと、こちらが教える立場になった時に見本になれないもんね。
でもまあ、失礼な人には、それなりの態度になってしまうけども。
つづく
ガレフモキアは、いくら飲んでも酔わないらしいよ。酒臭くなるけど。お酒で失敗してからは、少し飲む量を減らしたらしいよ。




