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歴代領主の平均生存年数三年の追放先を聖都にしてみた  作者: Lemonade
奇跡と騎士と産業革命の始まり
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戦争が始まる

 テオヴァルドの読み声が、草地に膝をついたバスティオンの間を流れていた。


 大公家からの使者を待って、ここで足を止めて三日。ヴァルテンは、軍の足でなお二十日余り先だった。


 東からは誰も来ない。風が草を揺らすたび、鎧のどこかで小さな音がした。


 胸甲は開き、兵士たちは鎧の中で脚を伸ばしていた。


 長柄と大剣は傍らに置かれ、物資を抱えたオートマタも道沿いに止まっている。


 オーレリアンは道標の石に腰掛け、杖を膝へ載せていた。


 テオヴァルドが頁をめくろうとした時、東の街道から蹄の音が届き、読み声が止まった。


 開いていた胸甲が次々に閉じ、草の上の武器が持ち上がる。誰も命じていない。さっきまで昔話に耳を傾けていた者たちが、一息で兵士の顔へ戻っていた。


 坂の向こうから現れた使者の肩には、先日アッシュマークを訪れた軍務官と同じ章があった。


「まだ動かなくていい」


 オーレリアンが片手を上げると、武器は下がったものの、胸甲までは開かなかった。その間を進んできた使者は馬を降り、乱れた息のまま口を開いた。


「エーレンフェルト伯爵から、こちらの街道を預かる軍務官へ新しい作戦が届きました。伯爵はすでに先遣隊を出しています。皇子方の守りを見るための攻撃で、結果はまだ分かりません。ただ、伯爵はその勝敗を待たず、数日のうちに総攻撃を始めます。アッシュマーク軍には、予定どおり西からヴァルテンへ進んでいただきたい、と」


「ヴァルテンから、新しい返事は?」


「ありません」


 (結果も町の返事も待たず、総攻撃。もう誰も止まる気はないらしい)


 テオヴァルドは本を閉じ、外套の内側へしまった。


「進むのですか」


「うん。向こうの本隊が動いてから、二十日歩くつもりはないよ」


 オーレリアンが立ち上がると、草地にいた兵士たちの視線が集まった。


「出発する。ヴァルテンへ――」


 言い終える前に、丘の両側から矢が飛んだ。


 テオヴァルドの剣から衝撃が走り、矢はオーレリアンへ届く前に砕け散った。破片の向こうから騎兵が斜面を駆け下りてきた。その旗には、カシミール皇子の紋章があった。


 オーレリアンの銀光が騎兵の先頭を薙ぎ、崩れた列へテオヴァルドが斬り込んだ。

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