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歴代領主の平均生存年数三年の追放先を聖都にしてみた  作者: Lemonade
奇跡と騎士と産業革命の始まり
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同じ食卓

代わりの操縦者へ砲を任せ、オーレリアンはミラの前へしゃがんだ。杖から離れない指に触れても、彼女はまだ、煙の向こうを見ていた。


「二人とも、戻ってきた」


 テオヴァルドとクレイドがそばへ来ると、ようやく指が緩んだ。エレンも隣へ座り、砲に向けていた杖を膝へ置いた。


「頬を見せて」


 傷は浅かった。血を拭ってフォルマを使うと、ミラは目を閉じた。


「岩棚へ撃った時、当たると思いました。お二人に。伏せてくださると分かっていても、煙が消えるまでは……」


 言い終える前に息が震えた。クレイドがしゃがみ、彼女と目の高さを揃えた。


「テオさんと一緒に、出すぎました。すみません」


「無事なら、いいです。でも、見えるところにいてください」


 手を差し出されても、すぐには立てなかった。二人も急がせず、そばにいた。


 オーレリアンは治った傷を確かめ、手を離した。


「留守を頼んでいた時も、こんな気分だった?」


「その時は、見えませんでしたから。帰ってくるとおっしゃったことを、信じるしかありませんでした」


 返す言葉を探している間に、ミラは自分で頬に触れた。もう痛くないと、そばにいた二人へ伝えている。


 砦には、村へ退いていた守備隊も戻り始めていた。捕虜を引き受ける者と、閉じ込められていた仲間を捜す者が行き交う。オーレリアンは立ち上がり、降伏した指揮官の方へ歩いた。


「後続は、どこまで来ている」


 男は川の先を示した。隣の諸侯の領内にいるという。ここを明け渡させた後、交代の部隊を入れる手はずだった。


「なぜ、ヴァルテンへの荷まで止めた」


「大公の軍を通す道になる。そう、命じられた」


 押さえた命令書も、その言葉を裏づけていた。国境のために道を借りるという話ではない。アッシュマークを西へ押し戻し、ヴァルテンへ届かなくするための占領だった。


 後続まで追えば、隣の諸侯の領内へ入る。そこまで兵を送る理由は、まだなかった。取り戻した砦で待てば、相手がまた攻めるにしても、同じ坂を登らせられる。


「後続にも、ここから兵は通させぬ。部下を返してほしければ、使者をよこすよう、上官へ書き送れ」


 男は黙って頭を下げた。書状を持たせる者だけを帰し、指揮官と兵はここへ残すことにした。


      ◇


 その夜は、砦で食事を取った。


 街道はまだ兵の往来に使っているが、翌朝には止められていた荷も通せる。交代の部隊が着くまで、奪い返した陣を空けるつもりはなかった。


 食堂では、ミラが隣の席を空けて待っていた。向かいに座ったエレンとクレイドは、倒れる砲の下を抜けた時のことを話している。


「落ちてくるものまで、あんなふうに使うのですね。こちらの息が止まりました」


「逃げる人たちが、そこだけ空けたので。自分でも、あとから怖くなりました」


「そうでしたか。私にだけ、先が見えていないのかと思いました」


 真顔で言われ、少年は少し迷ってから笑った。


「テオさんが前にいたから、行けました。一人なら、あそこで止まっていたと思います」


「僕も、後ろは見ていませんでした」


 隣の椀へパンを足しながら、テオヴァルドが答えた。クレイドは礼を言い、まだ食べていなかったことに気づいたように手を伸ばす。


「戻ったら、うちの兵にも話をしてもらえるかな」


 オーレリアンが頼むと、エレンはうなずいた。


「ええ。私の隊にも、見せたい戦いでした。許可が得られたら、今度は彼らを訓練へ連れてきたいと思います」


「こちらからも教わりたい。特に、君がミラを支えていたやり方は」


「教えてよいものからでしたら。私の判断で持ち出せないものもありますが」


 ミラも顔を上げた。


「私にも、お願いします。あの時、どこまで頼ってよいのか分からなくて。もっと早く、助けてと言えばよかったです」


「私も、先に言うべきでしたね。帰り道で、少し合わせてみましょう」


 ミラはうなずき、今度はオーレリアンへ頼んだ。


「練習の相手を、お願いできますか」


「私を撃つの?」


「受けていただけるなら、今度は思い切って試せます」


 今日とは違う顔で言われ、オーレリアンは笑った。


「分かった。今度は、私が前に立とう」


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