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私のやり方

それに影でコソコソ言われても今の私には何もこたえない。

だって、こんなこと前世で大学に通っていた頃、家が貧乏だの、容姿が地味、ケチくさい、様々なことを言われて虐められてきた。

それに比べたら、こんなこと可愛いものだ。


こういうのはスルーが一番。

小腹がすいてきたからスイーツでも食べてこようかな。


スイーツの方に視線を向けると、色とりどりの宝石のようなケーキ、氷菓子、焼き菓子の数々が置かれていた。


瑞々しいマスカットをふんだんに使ったゼリーの氷菓子に甘酸っぱい苺が挟まれたマカロンに心奪われてしまう私。


仕方がなかった。

どれも食べたことがなく、食べたいと欲求を押さえることが出来なさそうだった。


(ユーリ様もまだだし、せっかくだから食べて来よう!)


そう思い、その場から歩き出そうとした。

その時…────。


「きゃあ!」


何かにぶつかる音と悲鳴が上がった。

声の先に視線を向けるとルピナス嬢の取り巻きの一人の令嬢と一人の10歳ぐらいの少女がいた。

取り巻きの令嬢…シアと呼ばれていた令嬢は黄色の華やかなドレスに宝石のアクセサリーを付けて美しく着飾っているが、ドレスが赤ワインで濡れており、彼女の前にいる茶色の髪のドレスを着た少女は涙ぐんでいた。


「ご、ごめんなさい…私…」


「ごめんなさいじゃないわよ!どうしてくれるのよ!このドレス特注品なのよ。礼儀がなってないんじゃないの。ここはあなたみたいな子が来るところではないわ!」


「あ、あの…お父様にお願いして代わりのドレスのご用意を…」

「あなたなんかにご用意出来るの?これ今流行りのワカナギデザイナーの新作なのだけど」


ワカナギデザイナーといえば、有名なデザイナーで彼女が手掛けるドレスは令嬢たちから圧倒的な人気を誇っている。

彼女のドレスは常に手に入れるのが難しく、予約が必須となっている。


夜会でワインを零されてしまったのは気の毒だが、謝罪を口にしながら少女は零れそうになる涙を我慢して俯いている。

さらにシアの周りにはルピナス嬢や他の取り巻きの令嬢もおり、周囲は見て見ぬふり。

あれではあまりにも少女が可哀想だ


(よしっ!)


私は意を決して、シア達に近づく。

「ごきげんよう。シア様」


「ハルカ様…」


シアは私の姿を目にして眉をひそめる。

多方、怒りの矛先を少女に向けている最中、私に邪魔をされたことに対して軽い苛立ちを感じているのだろう。


「もう、宜しいではありませんか?彼女は謝罪をしておりますし、わざとではないかと思いますが」


私は少女を庇うようにシアに進言する。

私に庇われた少女は困ったように見上げる。

そんな彼女に「大丈夫だから」という意味も込めて優しく笑い、私はシアに視線を戻す。


「大切なドレスを台無しにされて怒るのも理解されますが、ここは夜会です。この場で騒ぎを起こされるのもどうかと…」


丁寧に相手を逆撫でせず、穏便にすまそうとする私にルピナス嬢は私の前に一歩出て、静かに言った。


「王子の婚約者であろう方が、マナーの悪い子供を庇うなんて如何なものかと思いますわ。この場でマナーが問われますのに」


ルピナスは意地の悪い表情を浮かべながら、私に冷たく言い放つ。

彼女はマナーを問いたいのではない。


きっと自分の取り巻きが私の言葉に論破され、周囲が納得する状況が気に入らないのだ。

少女を責め立てるのもそのうちの一つだ。

本当に大人気ない女!


「誰にでも失敗はあります。それに彼女は今深く反省しているのです。確かに彼女に非はありますが、だからといって女性が小さな令嬢に何人も寄ってかかって責めるのはどうかしています。ルピナス嬢も自分のご友人なら少しは止めるべきではありませんか?」


「何よ!この私に意見するっていうの!!」


カッとなったルピナス嬢は近くにあったドリンクを手にし、私に掛けた。


ポタポタと髪からワインが滴り落ち、ドレスが汚れる。

私は濡れていた頬を手の甲で拭い、笑顔で言った。


「暑かったので丁度良いですわ」


「ぐっ…」

私の言葉にルピナス嬢は顔を歪め、悔しそうな表情を浮かべる。

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