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面倒な人たち

「凄い…」


私は思わず感嘆な声で呟いた。

会場内は豪華な料理を初めとし、所々豪華な調度品や美しい花が飾られており、綺麗なドレスや服に身を着た貴族達が参加していた。


今まで夜会に参加したことはあるが、王族の夜会と引けを取らないくらい豪華なものだった。


「これは、ユーリ様」

「シラス大公」


一人の白髪の柔和な老人が近づいてきた。

彼はシラス大公。

王宮に使えている国王の家臣のうちの一人であり、この夜会の主催者だ。


「この度は夜会にお招き頂き、感謝するよ」

「勿体ないお言葉です。ご婚約者様と来てくださり、至極光栄でございます」


「シラス大公様。初めまして。ハルカ・コーダニと申します。このような素敵な夜会に私まで参加させて頂き、誠にありがとうございます」


カテーシーで丁寧に挨拶をする私にシラス大公は笑いながら言った。


「ははは。そんな畏まらないで下さい。あなたは未来の王妃になられるお方ですので」


「今夜は楽しませてもらうよ」

「ええ。是非。私は挨拶がありますので、この辺で失礼致します」


短くそう言うと、シラス大公はその場を後にした。

彼の後ろ姿を見て、私は隣に立つユーリ様に話し掛けた。


「なんと言うか、気さしくな方ですね」


「ああ。そうだろう。無駄なことは口にしないし、自分の地位も振りかざしたり、ましてや民と貴族の優劣をつけず、平等に扱う。結構気に言っているんだ。彼のこと」


この国の貴族は民と優劣を付けたがる傾向がある者が多い。

民は貴族の為に働いて当然だという考えが貴族の中に根ずいている人もいる。

だけどユーリ様は自分の国を、護るべき民に優劣付ける方ではない。

彼はどのようなかたちでも平等に接している。


その彼がシラス大公を気に入っているのなら、

相当な人格者なのだろう。


「では、僕達も挨拶回りに行こうか?」

「ええ」


ユーリ様は私に手を静かに差し出す。

私はその手を取り、彼と一緒に歩き出したのだった。


****


(疲れた~~~~!!)


私は会場の隅の壁際で一人グラスに入ったドリンクを飲んでいた。

ユーリ様と一緒に挨拶回りに行った後。

彼は知り合いの貴族と話があると言って、少しの間私の傍を離れた。


その間、挨拶回りに疲れた私は壁の花に徹している。

私は周囲を見、思わず目を止める。

そこには生徒会の役員であるルピナス嬢とその取り巻き達がいた。


(彼女達も参加していたのね…)


ルピナス嬢達は上位貴族。

この場に参加してもおかしくはない。

彼女達は私の姿を目にすると私に聞こえるようにコソコソと言っていた。


「見て、王子の婚約者であろう方がまさか壁の花になるなんて」


「どうせ、ユーリ様に相手にして貰えなかったのよ。ユーリ様は学園では私に頼ってくださるの。どこかのお飾りの婚約者とは違って」


「愛されてますのねルピナス様は。羨ましいですわ。それに比べて偽りの愛なんて虚しいだけですわね」


口々に言いたいことを言うルピナス嬢達。


(変われるのなら、変わってあげるわよ。全く面倒臭いわね)


本当に馬鹿馬鹿しい。

一応、私はこの国の王子であるユーリ様の婚約者。

私を影で陥れようと噂をしていたと知られれば王族が黙っていないはず。

そんなことも思いつかないだろうか。

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