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夜会の始まり

アマリアは私にそっと近づき、頬に柔ら感触がした。

彼からキスされた事実に気づき、私は同様と共に顔を赤くしてしまう。


「あ、あの…アマリア…」


動揺する私を見てアマリアはまるで悪戯が成功した子供のような表情をする。


「ごめんね。可愛かったからつい」


そう言ったあと、彼は優しく私の頭を撫でた。

「じゃあ、私はもう行くね。今日は楽しかった。また明後日学園でね」


そう言って彼はその場から去って行く。

私も寮の門を潜り、玄関先へと足を向ける。


私は平民になると決めたのに。

例え結婚しても平凡な男性と結婚して、平凡で平和な毎日を送りたいと思っていたのに。

なのに、どうしてこんなに胸が落ち着かないだろうか…。


前世から私が推しているアマリアだからなのか。そうではないのか。

今の私には分からなかった……。


****


翌日の日曜日。

私は用意されていたドレスを目にして驚いた。


「これって、ユーリ様から贈られてきたドレスなの?」

「はい!今日の夜会に是非来てきて欲しいと申されていました」


目の前にあるのはユーリ様と同じ瞳の色をした青いドレスと薔薇のイヤリングにパールをあしらった髪飾り。

婚約者に自分と同じ瞳の色をしたドレスを送ることは珍しいことではない。

だけど、彼から贈られて来たのは令嬢達が憧れる有名デザイナーのドレスとアクセサリー。


さらに髪飾りのパールは貴族でもなかなか手に入らない高級な素材の種類。

ユーリ様は本気で今回の夜会で私を婚約者として周囲に見せつけようとしているのが、今からでも伝わってきてしまった。


「さぁ、お嬢様。今から早急に夜会の準備に取り掛かりますよ」

「ええ。お願いね」


私は侍女のメイから浴室で身体を磨かれて、ドレスの着付け、化粧をされて、気づいたら夜会に出発する時間になっていた。


「まぁ、お嬢様!素敵です!」

「ありがとう。メイのおかげよ」


前髪を編み込みにしてパールの髪飾りを付け、青いドレス、薔薇のイヤリングを付けた私は普段とは見違えるくらい綺麗になっていた。

これもメイが綺麗にセットしてくれお陰だ。


(夜会ではユーリ様に迷惑掛けないように、彼の婚約者として完璧に振る舞わないとね)


そう思い、私は内心気合いを入れる。


「お嬢様。馬車の用意が出来ましたので」

「今行くわ」


そう言って私は玄関に向かったのだった。


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