彼からの誘い
生徒会室。
私とユーリ様の二人は誰もいないこの場所にいた。
学園の生徒会室ということもあって、室内の中は広く、大きな長机、調度品、棚には生徒会室に関する書類、資料が管理されていた。
「悪かったね。突然、こんなところまで連れてきて…」
「いえ、それで話とは……」
何だか嫌な予感がして、思わず私は後退る。
だけど彼は私を逃がさないとばかり、私の髪に触れて軽くキスをした。
「ハルカ。僕の姉君とこの前、王宮でお茶を楽しんだらしいね」
ユーリ様の言葉に私は思わず心臓がドキッとした。
どどどどうして知ってるの!?
誰にも知らせてないのに!!
アイビー様に婚約破棄の話を相談した時、彼女はユーリ様に黙っておくと言っていた。
もしユーリ様がこのことを知ってしまえば、私はきっと今以上に執着されているはず。
「アイビー様とのお茶は以前から約束していたことですので…」
「きみが王宮にいたと知れば僕だって無理やりでも予定を合わせて行ったのに…」
「それではレオン様がお困りになるのでは…」
「それにきみ最近はアマリアと昼食を取っているようだね」
「で、でもアマリアは私の大事な友人なので彼を無下になんてできません」
少しだけ不機嫌そうに言うユーリ様に対して私は言った。
アマリアは男性で人形族の王子。
彼が異性だと知る前は女性の友人として接していたが、それは今でも変わらない。
私は異性だから彼を遠ざけることはしたくはない。
前世と今の私は彼自身を友人として好きであり、また彼自身を尊敬しているのだから。
(待てよ…。これってユーリ様に取って不貞になるのかな…?もし不貞だと判断されたら私は婚約破棄されるわよね。そしたら全て解決するのでは…?)
そんな腹黒いことを考える私を他所にユーリ様は両腕を組み、仕方なさそうに言った。
「僕だって彼のことは知っているし、ハルカが彼に気がないことも理解している。だからと言って、きみに彼に合わないでくれと頼み、縛るのは違うと思うからね」
「…………」
ユーリ様が常識がある人で良かった。
ここでユーリ様に束縛されてしまえば、身動きが取りずらくなってしまうし、きっと王妃コースまっしぐら。
それだけは阻止したい!
「本題はここからなんだけど、僕の婚約者として来週の日曜日の夜、貴族の夜会に一緒に参加して欲しいんだ」
「私がですか…?」




