腹黒王子様。
昼食後。
アマリアは途中、教師に呼ばれた為に私は一人で教室に戻っていた。
廊下を歩きながら生徒会室の前を通りかかった時、突然ドアがガラッと開かれた。
「それじゃあ、副会長あとの件は頼んだよ」
「はい!この私めにお任せ下さい。殿下の役に必ず立ってみせますので」
「あ、ハルカ!」
生徒会室から出て来たユーリ様は私の顔を見ると、私の傍にやって来た。
「ごめんね、ハルカ。昼食一緒に取れなくて」
「い、いえ、私のことはお気になさらず。先約がありましたので」
私は彼に曖昧に笑う。
ユーリ様は学園の生徒会に所属しており、そこで会長をしている。
学園の行事である隣国の生徒を招いてのお茶会がある為、その準備で生徒会は忙しそうだった。
今まで私にベッタリだったユーリ様から少しの間とはいえ、開放されたのは良かったがユーリ様のアプローチは相変わらず。
おまけに婚約者がいるのにも関わらず、ユーリ様を狙っている副会長のルピナス嬢。
彼女は伯爵令嬢で父親が大臣。
私がユーリ様の婚約者に選ばれた以降も彼のことを狙っていたが、アマリアが現れてからは大人しくしていた。
ユーリ様がアマリアに良くしていたので、彼に嫌われたくなかったのだろう。
一時期アマリアとユーリ様の噂が流れでいた時は今からでもアマリアに突撃して虐めを始める悪役令嬢のような雰囲気があったが、思いとどまり、誤解が溶けたあと今に至るということだ。
(はやく、ここから立ち去ろう。凄い顔で睨まれてるし…)
ルピナス嬢はユーリ様に気づかれないように私を憎しみを込めた形相で睨んでいた。
多方、生徒会の行事で彼との距離を詰めたいのだろう。
勝手にやってくれれば良い。
私には関係ないので。
「では、私は失礼します」
「ちょっと待って」
立ち去ろうとする私の手をユーリ様は即座に掴んだ。
「このあと、少しいいかな?話があるんだけど」
ユーリ様はにっこりと笑顔で言った。
目が笑ってなく、私には真っ黒な笑みに見えた。




