したたかさ。
そんな私を見て彼はクスッと可愛く笑った。
「半分は冗談ですよ。もう半分は本気ですけどね」
「ねぇ、アマリア。私はあなたのその姿は可愛くて、素敵で、とても好きだよ。でも本来のあなたの姿には戻らないの…?」
私は彼に探るように訊ねた。
小説では彼は女性だった。だけど美を愛する彼が女性の姿をしているということは何か理由があるのではないかと感じた。
本当はこんな話を聞いても良いのかと、聞いたら駄目だったのではないかと少し後悔をしてしまった。
だけど、それは一瞬で彼の言葉で消しさられた。
「前にも言ったようにこれは、私の趣味だよ。深い意味は無いけどね」
「そうなの…」
「ええ。私は美しいものが好きだし、元々女性が多い家系で育ったっていうこともあって、レースやドレスに憧れを持った。でも男性の自分も嫌いじゃない。男性の姿も気に入ってるし、身体動かすのも好きだから」
アマリアは空を見上げながら言った。
「学生でいる間はこの姿でいようと思ってるの。国に戻れば私はいよいよ人魚族の次期王としての役割をしなければいけなくなる。だからその前に好きなこと思いっきりやっておきたいと思ってね」
アルダナ国では第一王子であるユーリ様は学園を卒業したあと本格的に次期国王として、王子としての仕事と責務をしなければならない。
それは王族ならば当然のこと。
私も同様に卒業後は王家に入り、妃教育を受けた後、彼との婚姻が控えている。
学生の間にしか好きなことができないのだ。
アマリアもユーリ様と同じ立場だと思うと、今のうちに彼のやりたいこと、願いを叶えてあげたくなる。
私は彼の手をぎゅっと握り、真剣な顔で言った。
「ここにいる間、あなたの好きなこと全部やろう!私も協力するから!!」
「本当?」
「ええ。もちろんよ!」
「じゃあ、次の日曜日デートしよう」
「へ?」
私は思わず間の抜けた声を出した。
それに対して彼はずいっと私に顔を近づけた。
「さっき、あなた何でも協力するって言ったよ?」
「な、何でもとは言ってない…」
「だめ…?」
悲しそうな顔で私を見つめるアマリア。
くぅ……。
ズルい…!この子自分の武器を最大限に使って私を惑わしに掛かってる!
前世で私は欲しいものを弟、妹達に可愛くお強請りされても頑として財布の紐を緩めなかった。
だって、貧しい生活を余儀なくされていたから。
その私に悲しそうな顔をしたって……。
全く、その効かないんだから……。
「ハルカ…」
(もう、駄目なのに…)
「わ、わかったわ…」
「ありがとう。ハルカ大好き!」
喜んだアマリアは私に抱きついた。
結局私は彼に押し負けてしまった……。
前世から好きなキャラの頼みを断るなんて私には出来なかった
こうして私は彼とデートすることになってしまったのだった。




