私の義妹。
(無茶言わないでよ…。あなたは天才かもしれないけど、私はあなたみたいな才能ないし、歳だって私より二つだけ違うだけでしょう)
「それにあなたユーリともお茶、最近していないようね。婚約者同士もう少し親睦を深めないといけないのではなくって?」
アイビー様は小姑のようにチクチクと私に嫌味を言ってくる。
普段はそんなことないのに、ユーリ様が絡むと毎回この調子だ。
もしかしなくても私は彼女に嫌われているかもしれない。
彼女は口はキツいがユーリ様を大切に思っている方だから。
彼の婚約者にも教養、知識、ユーリ様を支える責任と覚悟を求めるのだろう。
「アイビー様」
私は彼女の顔を真っ直ぐ見て、静かに告げた。
「私、ユーリ様と婚約破棄したいのです」
「え?」
私の言葉にアイビー様は一瞬固まった。
もしかして…私の言葉が聞こえなかったのだろうか。
もう一度行った方が良いよね…。
「えっと、だから婚約破棄をですね……」
「……私が悪かったの…?」
「えっ…?」
「私のせいなの!私があなたに色々あれこれ言ったから、だからあの愚弟と婚約破棄したくなったの!私が悪いの!!」
アイビー様はわぁ涙目になりながら必死でまくし立てるように私に言った。
そんな彼女の態度に戸惑いながらも今は彼女を必死で私は宥める。
「ち、違いますよ!アイビー様のせいでは決してありません。これは私の気持ちの問題なのです」
「気休めはよして頂戴!私だって本当はあなたは私の未来の妹で頑張り屋で可愛いし、本当は姉妹揃って街でお買い物デートとか、ドレスとか見繕ってあげて、可愛がりたいのに。でも王族だから、義妹になるのだから厳しくしろって宰相が言うから従ってきたのに……嫌われるなら意味ないじゃない!!」
「あのアイビー様……」
「愚弟が悪いのなら、私が愚弟にキツくしかっておくから、婚約破棄なんて悲しいこと言わないで!私の妹なのにぃぃぃぃ!!!」
テーブルに突っ伏しながら咽び泣くアイビー様。
そこには普段の気品溢れる淑女で王女の姿はどこにもなく、年相応の令嬢に見えた。
それにしても凄い変わりようだ。
厳しくて凛々しく、サバサバしている彼女だったが、外見と中身のギャップが激しすぎる…。
だけど嫌われていると思っていた相手に実は好かれていたのだと知ると嬉しくなるのは当然のことで。
私はアイビー様に語りかけた。
「アイビー様。私もアイビー様のことを本当は尊敬しています。それは姉のように。だって貴方はいつも私のことを思って厳しいことをおっしゃってくれていたのでしょう。世間知らずのまま恥を欠かないように。それは立派な愛情だと思うのです。なかなかできることではありません。言葉は厳しくても、そこに誰かを思う気持ちがある。だから私はあなたのことを尊敬しているのです」
「ハルカ……」
アイビー様は突然、私を抱きしめた。




