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王女様

夜。

私は自室のベッドの上で寝そべっていた。


「まさか…こんなことになるなんて…」

独りごちる。


アマリアが男性だという衝撃の事実。

だけど、それ以上に驚いたのはアマリアとユーリ様が私の奪い合いに発展してしまったことだ。


ここが小説の中だと思い、悪女の私が間違ってもユーリ様と結ばれず、悲恋のヒロインであるアマリアと結ばれるように今まで必死になって動いた。

だけどそれは違っていた。

ユーリ様は私に執着しているし、アマリアは男でしかも彼は私のことを気に入っている。


好きだって言われたけど、まさか彼が私を好きになるなんて思わなかった。


「ちょっと待って、アマリアとユーリ様をくっうけなくても良いなら、私もう好きにして良くない?」


私はハッと気づき、カバッとベッドから身を起こす。

私は最初から王妃になるつもりはなかった。

最初の目的はアマリアの幸せを願っての婚約破棄。

その目的がなくなったいま、ユーリ様と婚約破棄して、そこそこの貴族男性と結婚して、そこそこの人生を送れれば私は満足だ。


この国の王妃にも人魚族の王妃にもなりたいとは思わない。


確かにアマリアのことは好きだが、それは恋愛でははく、彼の人柄と芯の強さに強く惹かれた。

彼とは今までどおり良い友人でいたい。


「いまの私が目指すものは婚約破棄!何としてもユーリ様と婚約破棄しなきゃ!」


私はぐっと拳を握り、決意を新たにした。



*****


「私が誘ったお茶に遅れてくるなんて良いど今日ね」

「も…申し訳ございません……」


ある休日の午後。

私は王宮の中庭の薔薇の庭園の中でユーリ様のお姉様であるアイビー様に呼ばれて彼女と二人お茶をしていた。


金糸雀のような美しい髪に宝石みたいな碧の瞳、人形のような愛らしい顔立ちをしているがサバサバとした性格ですぐに思ったことを口にしてしまう。

そんな性格の姫君。

周囲の人達は彼女のことをユーリ様と比較して我儘で自分勝手だというが、私はそうは思わない。

アイビー様は女性でありながらも商売や政治に詳しく、損得の勘定を真っ先にできる方。


この国では女性が活躍する場はあまりない。

男性は仕事、女性は自分の夫、家族を支えるものだと根ずいている。

まるで私が前世にいた頃の古臭い風習に似ている。

女性だから、男性だからって、そんなの関係ないはずなのに…。


私がアイビー様とお茶をしている理由は一つ。

彼女に今日の朝いきなり呼ばれたからだ。

お陰で準備に手間取ってしまい、約束の時間に遅れてしまった。


「ふん。まぁ良いわ。ところであなた、まだ3ヶ国語しか習得していないんですってね。ユーリの婚約者としてやる気ある?私があなたの歳の頃なら六ヶ国語ぐらい平気でマスターしているのに」

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