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彼女の覚悟。

翌日の日曜日。

私はアマリアの寮の部屋の前にいた。

学園の寮は一人一人自室が与えられている。

それは学生の殆どが貴族であり、自分の身の回りを世話してくれる侍女、従者を連れている場合が多いからだ。


だが貴族ではないアマリアは侍女がいない。

彼女は自分の身の回りを自身でしなければならない。

それは学園を欠席する時も同様だ。


(大丈夫かしら…。話を聞いてくれると良いのだけど……)


私は前を見据えて意を決し、コンコン。とドアノックした。


「アマリアさん。私、ハルカです。体調は大丈夫?少し顔を見せてくれるかしら」

「……帰って下さい…」


ドア越しから弱々しい彼女の言葉が聞こえた。

何故か鼻声にも聞こえる。

もしかして泣いた後かも、もしくは風邪をひいている可能性だってある。


ここは引き返した方が良いかもしれない。

だけど、もし風邪を引いていたら大変なことになる。

迷った末、私はドアを開けて部屋の中に足を踏み入れた。


室内には綺麗に整頓された印象があり、テーブルの上にはガーベラの美しい赤い花が飾られており、ソファには手作りのウサギのぬいぐるみが幾つも置かれていた。

その近くのベッドに毛布にくるまって、泣き腫らした顔をしたアマリアの姿があった。


体調の方を心配したが、見た限り問題はない。

だけど噂のせいか心做しか心が傷つき、疲弊しているように見えた。


アマリアは私の顔を恨めしそうな顔で見ていた。


「どうして来たのですか…?帰って下さいとお伝えしたのに、あなただって私を嘲笑いに来たのですか…?」

「そんなことないわ!私は本気であなたを心配して…」


「だったら、どうしてユーリ様はあなたとあんなに親密だったのですか。あなたはユーリ様のこと興味ないって言ったけど、どうみたってあなたはユーリ様に愛されてる。本当は影で私のことを馬鹿にしていたんですよね」


「そんなはずないじゃない!私は本当にあなたのことを友人だと思って。それに彼は親同士が決めただけの婚約者なの!」


「だったら私に証拠を見せてください」

「証拠…」

「ええ。そうです。証明してくれたら信じても良いです」


アマリアは私の顔をじっと見る。

その瞳は疑いの眼差し。


(無理もないわよね…。そうよね。あんな場面を目撃されて、さらに学園で酷い噂までされてしまっては信じて欲しいというのが無理かもしれない…)


今の私がいくら彼女に言葉を並べたとしてもアマリアの心に響かない。

だから彼女の言葉どおり、ここで私の覚悟を見せる必要がある。


「わかったわ。覚悟を見せてあげる」

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