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彼女の心奥底。

「ねぇ、こんなことは止めてくれる。私の為にやったのかもしれないけど、こんなこと私は望んでない。ちゃんとアマリアさんに謝って欲しい」


真っ直ぐな目で見つめる私にセイラは突然、勢い良く席を立ち上がった。


「は?この私があなたの為にしてあげたのよ。感謝されど、何であなたから責められなきゃいけないの!」


彼女の目は憤り、怒りを露わにして私を睨む。


「私は本当はあなたがずっと羨ましかった。憧れのユーリ様の婚約者になって、将来彼の妻になることが約束されて。あなたと私の家の爵位はそう変わらないのに、あなたばかりが選ばれた。私は友達のあなただから我慢した。納得していた。なのに…!」


セイラは悔しそうに顔を歪めた。

「あんな子がユーリ様と恋人になってしまうかもしれないなんて、そんなの我慢できるわけないじゃない!!」


(セイラがユーリ様を想っていたなんて知らなかった…)


きっとセイラは私の知らないところでユーリ様のことを思い続けていたに違いない。

私がユーリ様の婚約者に選ばれたのは爵位と教養、それなりの知識が高かったからだ。

私がいなければセイラが彼の婚約者に選ばれた可能性がある。


彼女は私に比べて教養と知識が低い。

だからこそ相手が私ならばと諦めもついたのかもしれない。

だけど私だってそんな完璧な人間では無い。

私の中にあるハルカの記憶では貴族の淑女である為に教養を強いられていた。


優しい両親は強く教養をしてはいないが、望んだのはハルカ、私自身だ。

両親、兄に恥を欠かせられない。

そんな思いから私は自分自身で身につけた。

セイラは私がユーリの婚約者になる為に努力したと勘違いしているかもしれないだろう。


だけど私の目的はアマリアを幸せにすること。

ユーリ様と結婚することではない。

それに彼女は自分の気持ちを免罪符にしている。

このまま見過ごす訳にはいかない。


「ねぇ、セイラ。こんなことしても意味はないわ。だってこれはあなたの気持ちの問題だから。それにあなたの思いどおりにはならないと思うわ」


「だって、仕方ないじゃない。こうでもしないと伝わらないかもしれないんだもの」


「だからって気に入らない相手の悪い噂を流すのは違うと思うわよ」

「…………ッ」


私の言葉にセイラはかっと顔を赤くした。

きっと彼女には自覚があるんだ。

自分が酷いことをしてしまったことに。


私はセイラに近づき彼女の肩に優しくそっと手を触れた。


「セイラ、こんなことやめよう。あなたが後から後悔してしまうから…。他人を傷つけても欲しいものは手に入らない。そこまでして手に入れたものだとしても、後から虚しくなるだけよ」


「綺麗事ね…。あなたはユーリ様から愛されているからそんなことが言えるのだわ。彼から何とも思われてない私の気持ちなんて分からないわよ」


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