噂の始まり。
数日後の昼休み。
私は一人学園の廊下を歩きながら溜息をついた。
「はぁ…。やっと撒いた…」
昼休みユーリ様を撒く為に彼に見つからないように隠れながら移動していたのでどっと疲れてしまった。
あれから彼は宣言どうり生徒会や授業が無い日は私にベッタリとくっついていた。
一緒にいる間、彼は私に人目を気にすることなく私をところ構わず溺愛してくる。
私の為に高級なスイーツを取り寄せたり、毎日薔薇の花を送ったり、挙句には私が他の男性と会話しているだけで笑顔で割り込んで来るという始末。
ユーリ様がアマリアを構っているという噂はいつの間にか消え去り、代わりに彼が婚約者を心から愛しているという純愛のような噂が広まっていた。
(アマリアに誤解されたくないのに、どうしようこんな噂になちゃって~~~)
これは完璧に私のミスだ。
何とかしてユーリ様が私から離れるようにしないと。
(でも、どうやって……。悪女を装って傲慢にわざと言っても全然聞いてくれなかったし…。何かいい手はないのかしら…)
そんなことを考えていると突然、私の耳にある話が聞こえて来た。
「ねぇ、知ってる?あの転校生の噂。あの子影でハルカ様のことを虐めてるんですって」
「それ聞いたことがあるわ。ハルカ様から殿下を奪おうとしたら失敗して、その腹いせにハルカ様を虐めてるって。お門違いも良いところよね。あんな子よりハルカ様の方が殿下の婚約者として相応しいのに」
「全くよね~~」
は?
どういうこと?
アマリアが私を虐めてるって…?
そんなことある訳ないじゃない!!
心優しいアマリアが他人を虐めることが出来るような子じゃない!
私は彼女達に近づき、声を掛けようとした。
噂の元凶を知る為に。
だけど気づいてしまう。
彼女達に聞いても分からないかもしれない。
だったら現状を探る為に自分で調べた方が良い。
私は踵を返し、急いでその場から歩き出した。
虐めの件を調べてのさらに数日後。
授業が終わってからの放課後。
私は自分の席に座っているセイラに声を掛けた。
「セイラ。学園の中庭でお茶しに行かない?あなたに聞きたいことがあるの」
セイラは公爵令嬢で幼い頃から私の幼馴染で友人。
学園に入った今でも友人としての付き合いは続いていた。
美しい黒髪のロングヘアーに漆黒の瞳。
綺麗で整った容姿と共に優しく、気遣いができてしっかり者だ。
男女問わず人気がある。そんな人物だった。
「良いわよ。そういえば、あなたの好きなフルーツタルトがあったの。侍女に用意させるわね」
「ありがとう。楽しみにしている」
私は彼女に笑顔を向ける。
だけど今からするのは友人との楽しいお茶会ではなく、責任追及したイベントになるかもしれない。
気を引き締めていかなければならない。




