こんなはずじゃなかったのに。
内心ドキドキと緊張しているのだが、もう言ってしまったからには後には引けない。
お願い!
私のことはもう諦めて!!
ユーリ様は手で顔を覆い、ふっと笑った。
「ふふっ。まさかきみからこんなに熱烈な告白を受けるなんて思わなかったよ。相変わらずきみは面白い」
「私は婚約破棄したいっと言ってるんです!聞こえなかったのですか!!」
「聞こえたよ。だから婚約破棄なんてしない」
ユーリ様は私の手を掴み、身体を抱き寄せ、顔を近づけた。
「全部叶えてあげる」
「えっ…?」
今なんて言ったの?
私の聞き間違い…。そうだよね!
彼の言葉に戸惑う私に彼は砂糖菓子のように甘い笑顔で言った。
「きみは私の妻になる女性だ。夫なら妻の願いを叶えなければならないしね」
何故そうなる!!
私はただ幻滅して、離れて欲しいだけなのに!
「殿下、全部ですのよ。民達を大切にされているあなたに私は私のことを優先して欲しい。そう言っているのですよ!こんな我儘無理に決まっているでしょう」
「無理じゃないよ。もちろん民達のことは大切だし、蔑ろにするつもりは無い。王族としての責務だからね。だけどきみのことは違う。僕はきみを優先するよ。きみが満足するまで。手始めにきみから離れないところから始めようと思うんだ」
ユーリ様は私の髪を掬うようにひと房手に取ると口付けを落とす。
それはあまりにも綺麗で、不覚にもドキッとしてしまう。
「きみは知らなかったかも知れないけど、僕は一度手に入れた物は絶対に手離したくないんだ。それがきみなら尚更ね」
ユーリ様はそっと私から身体を離した。
「本当はすぐこの場できみに僕の印を付けたいのだけどやめておくよ。きみに嫌われたくないしね。でも一つだけ言っておく」
ユーリ様は一度言葉を切り、続けた。
「アマリア嬢にきみを渡さないから。それだけは覚えておいてね」
そう告げるとユーリ様はその場から立ち去って行った。
一人になった私は思わず、その場に経たり混んでしまった。
「どうしよう…」
私は思わず呟く。
どうやら私は意図せず彼に火を付けてしまったのかもしれない……。




