迫る王子から逃げる方法
「ねぇ、ハルカ。説明してくれる。最近僕のことを避けてるよね?」
授業が終わって放課後。
私はユーリ様に無理やり捕まって人払いをされた生徒会室に彼と二人きりでいた。
「い、いえ…。そのようなことはありません。私も最近色々と用事がありましたので…」
「用事ってなんだい?どうして僕から目をそらすのかな?」
(嘘でしょう~~!!まさか、こんなことになるなんて~~!)
どうして!
ユーリ様はアマリアのことが好きなのではないの?
確かに夜会では私の代わりにアマリアに夜会に参加してもらったけれど、彼女をエスコートしたのでは?
嫌なら断れば良いのだし…。
「ハルカ、僕と一緒にいるのに考えごとかな?随分と余裕があるんだね」
ユーリ様の顔が近づく、彼は私の顎を軽く持ち上げ、さらに近づく。
「お仕置がひつようだね。婚約者としての」
囁くように甘く彼は告げる。
それはまるで誰もが虜になってしまう。
マズイ、マズイ、マズイこのままでは…!!
確かに私はユーリ様のことは嫌いじゃない!
どちらかといえば好みだ。
だけど私の目的はアマリアとユーリ様の仲を深めて最後はハッピーエンドにすること。
相手は私ではない。
私はカッと目を見開き、ユーリ様の口を手のひらで押さえた。
「そう簡単に婚約者の唇を奪うものではありませんよ殿下」
ぬめっと手のひらを舐められた感触がして私は驚き、顔を赤くして声を上げながら、慌てて手を離した。
「ひゃっ!」
「可愛い反応をするね。僕のハルカは本当に可愛い」
「でで、殿下!お戯れが過ぎます!女性の手を舐めるだなんて!」
「怒らなくても良いだろう。僕達は婚約者同士で将来結婚する仲だし、当然キスもね」
一歩も引くつもりはないユーリ様はじりじりと私に迫って来る。
ダメだ。
このままでは確実にやれてしまう。
こうなったら…!
「わ、私!他の令嬢に現を抜きしている婚約者なんて要りませんわ!それが王子であっても!」
私はキッと強い目をしてユーリ様を睨んだ。
そして彼の肩を引き寄せて詰め寄るように話す。
「私は私だけを愛してくれる人が良いのです!私を一番にして、常に私の傍にいてくれて、私の我儘を何でも叶えてくれる、そんな素晴らしい方ではないと結婚なんてありえません!」
これなら、我儘で重たい女だと思われたに違いない。
ユーリ様は第一王子であり次期国王。
常に民の安寧を考え、行動しなければならない。
王妃となる女性が我儘で自分本位な考え方では国の王妃なんて、とても務まるはずはないし、ユーリ様は民のことを常に考えている。
だったら今の私の発言に幻滅したはず。
我儘な女より慎ましく清楚で国や民のことを大事に思っている女性を好むはずだ。
(あとは…今の発言か不敬罪にならないと良いのだけど……)




