005-04
「わけがないのは当然だからぁ、大手を振って正面突破なの、それがチートだも~
ん。魁こそチートをナメないでちょうだいよねっ、マジガチでぇ」
dooは歩みを止めずにくるりとターン──魁へ訓誨の意味を込めて、ドビシッ
と指を差しつける。
「‥‥チートが、万事好都合になるかは、考え方次第ってかよ?」
「そう言うことなの」
「調子狂うんだよなぁ。一応dooから、罷りならんと嫌悪されちまう覚悟を決め
て、ブッチャケたってのに」
「ならワタシもブッチャケるけど~、どうせなら、鬼を酢に指して喰ってでも、生
きていく覚悟を決めちゃえばいいのにぃ」
「酢漬けにする程度じゃ、喰えそうにない連中だったけどな‥‥って言うか思い出
したぞ」
「またいきなりぃ。何よ一体~」
「人を指差す行為は、世界共通で侮辱の意味があるから絶対にダメって、オレに説
教タレたことあったよな?」
「今思い出すことなのそれぇ? 魁の方がヒドい戯れ言なんだけど~」
「ウルセ~っての。それをこっちに来た短い間に、二度もしてくれやがって。説得
力ないんだよな、全っ然っ」
ともあれ魁も、右後方およそ四五度から、dooの横顔へ向けて指を差し返す。
「曖昧な記憶で思い出されてもねぇ、ワタシは記憶に御座いませんことよ~」
「ヒッデ~言いぐさだよなぁ、ったく」
「だってフツウに言っても、魁の記憶は留まりきらないヒドさなんだもん」
「悪かったなぁ、かもだけどさ‥‥」
「だからインパクトづけでやっているんだし、鬼は人ほど容易く死なないから、も
う魁から逃げ廻ってあげる必要もない~」
「‥‥いや必要はあるだろ? 一転して逆の意味で。鬼は、人の強さとなんか比較
にならないんだし」
「比べるまでもなく、思う存分やっちゃえばいいの。折角のチートを折角の鬼ども
相手に、コツコツ使い熟せるようにしちゃいなさいな」
「‥‥コツコツとか、容易く言ってくれるなっての」
「大事だもん、人族の社会へ戻りたいなら尚更だわ。人虎族や人狼族は鬼人を手こ
ずらせる強さだし。普段は温厚な人牛族だって、激怒れば、オーガも容易くフッ飛
ばしちゃうのよ」
自ずと、まだ実見していない獣人たちのイメージを膨らませて、魁は寒けを覚え
てしまう。
「まいるよなぁ。そんなのが、何で同じくくりの人族なんだか? 人種ってことに
なるわけだろ、こっちでは?」
「魁は、加害者の権利とかクソ喰らえ。同族同士でも、敵わない強さに目を瞑るし
かないっていう、獣じみた世風を切望していたんじゃないかしらぁ?」




