005-03
「いや‥‥おそらくオレ、大爆発の鬼ギレなんかしちまったら、相手が動かなくな
っても攻めまくり続けてさ‥‥」
「ンン~、何なのよそれで?」
「殺したことに気づくまで、我に返れないんじゃないかって思うんだよな‥‥鬼相
手でも、そうなっちまうのが、一番ビビるんだって‥‥」
深刻そうに申告する魁を尻目に、dooは浅浅しい歩みぶりになり、そのままの
調子で受け返す。
「そう思えるんなら、充分善人じゃないの? ビビるだけムダムダ~」
「オレの腹の底には、凶悪な本心だって絶対にあるはずなんだ‥‥」
「どうしてぇ?」口ぶりとは裏腹に、dooはどうにも心得顔。
「‥‥一人一人にとってはチョットした嫌がらせでも、それらを、これまで独りで
受け続けてたオレの鬱憤は、ボコろうとしてくる数人くらい、殺せちまう憎悪なん
だって気がする‥‥」
「ウ~ン。まぁそうかも‥‥」
「それにビビって、まともに相手をしないよう、ムチャクチャやってまで逃げ廻っ
てたんだしさ」
「だからぁ、もうそんなことでビビらなくていいの魁は。全ては明王様の御裁量、
殺しちゃったら、死んで当然の相手だっただけのことよ」
「マジガチで言ってんのかそれ? ったく‥‥」
「さっきの鬼ババたちは、偶偶じゃなく、魁を殺そうとまでは考えていなかったか
ら、魁の本心も酌んで、ああいう結果になったんじゃないの?」
「‥‥死んで当然とか、思うのは勝手でも、ホントに死んじまったら‥‥死んだ相
手なんか、おそらくどうでもいいんだ、そんな凶悪なオレ自体がヤバいんだよ」
「どうヤバいわけぇ?」
「それこそ、良心の呵責に耐えられるかどうか? 苛まれ続ける恐怖にビビるんだ
っての」
「ホントに凶悪なら、良心の呵責に苛まれ続けたりしないでしょ」
「‥‥屁理屈にしか聞こえない正論だよなぁ」
「要はその無刃の刀は、刀の形をしているだけの、明王様だと思えばいいってこと
なのよ」
「お次は思いっきり屁理屈、いやそれ戯れ言‥‥とか、オレにツッコませないでく
れよなぁ、明王斬りに失礼になるだろが」
何とはなしに、明王斬りの柄頭に向けて、軽い片手拝みながら失礼を詫び入る魁
だった。
「単なる考え方の問題でしかないの。魁の傍には、ワタシだけじゃなく明王様もい
て、魁が闘おうとすれば、先陣きって助太刀してくれちゃうぅ」
「‥‥あのなぁ‥‥」
「その助太刀が速くて強すぎるから、魁が倒す前に倒しちゃう、魁は凶でも悪でも
全然ない~」
「モォ~。そんな戯れ言、罷り通るわけがないだろっ」




