005-02
「なら、まともに入口なんかへ向かわないで、鬼どもに見つかる前に、服装さえこ
っちのモノに着替えられれば、どうにかごまかせるんじゃないか?」
魁は、左手側の、木痩せしきった板が乱漫と立て渡されている高塀を、あらため
て見やる──。
板がはずれていたり、穴が開いている箇所は見当たらないが、どこも、一撃で蹴
破れること間違いなしの干固まり具合で、なにも入口らしき所まで行かなくても、
町自体への侵入はいとも容易そう。
潮除けが目的であろうこの長い板塀は、魁の心許ない記憶の限りだと、長さだけ
ならば、現存する城郭では日本最長となる熊本城の長壁の、倍以上もあるのではな
いかと思えてしまう。
つくらされた当時の人素族たちへと思いが及べば、服装でごまかしたところで、
あつかい自体は、何も変わらない気もしてくる魁だった。
「ごまかす必要なんて、ないでしょ全然。ワタシの言い分を聞かずに、鬼どもがウ
ザクサかったら、倒しちゃえばいいの魁がまたぁ」
「全然かよ? 確かにごまかしたって無意味だろうけどさ、そんな調子で、敵対を
前提にする必要もないっての」
「だって、明王斬りに斬られずに済んじゃう鬼なんて、いると思うぅ?」
「‥‥それは、わからないだろ、また抜いてみないことには。とり敢えず斬るつも
りで」
「そんな鬼レア鬼を逸早く見つけ出して、話をちゃんと聞いてもらうためにも敵対
上等でしょ。ワタシが倒しまくってもいいのよ別に~」
「ったく‥‥わかったって、オレがやるさ。その方が、とにかく無難で平和そうだ
し」
「そうそう、無難に平和にが一番よね~」
「まぁ正面から行った方が、鬼どもがそろってるだろうから、こそこそ行って出交
わした毎に倒すよっか、効率が良いもんな」
「まったくぅ、御希望のチートを手に入れたっていうのに、まるで代わり映えしな
いんだからぁ」
「そりゃそうだろ。チートが使えるようになることを望んでたのは認めるけどさ、
希望どおりのチートじゃないんだし」
「そこまで都合の好いチートなんて、あるのかしらぁ?」
「ん~、そう言う意味じゃなくてだな‥‥もう、dooだからブッチャケるけど、
オレは、dooが思うほど善人じゃないからさ」
「そうなのぉ? けどけど、ワタシが思わないほどの悪人だなんてことも、あり得
ないし~」
「だから、手に入れちまったら、入れちまったで、このチート刀のチカラを、使い
熟しきれるかにビビるんだって。さっきは偶偶かもしれないだろが‥‥」
「何だって、そこそこ時間がかかるものでしょ、使い熟すなんてことにはぁ」




