005-01
険阻な岩場が少なくない急角度の斜面を、アクティヴィティーでもクリアするよ
うな歓遊ムードで下りきった二人は、荒磯を石でみっしりと埋め上げて歩き易くさ
れた海端を、さらにひたひたと進んで行く。
警邏中の一小隊を、事もなく無力化できたにもかかわらず、ルンルン気味なdo
oに対して、魁の足どりにはうっすら警戒心が窺えた。
外海へ向けて次第に低くなるクレーターウォールが、稜稜しく天然の防波堤をつ
くり、湾とまでは呼べない、広めの入り江を形成している景観を見やりながら行歩
する二人は、今のところ周辺からは、何者かの息差しさえ感じられてはいない。
だのに、魁は、進む毎に見る見る警戒の色を濃くしていく。
それを今ではdooが、半歩ほど先んじることで、すなすなと牽曳する格好にな
っている。
二人がとりあえず目指しているのは、クレーターの底のほぼ中心地点。
これまた大きめの岩が、自然に筋立って積み重なり、海へ一本突き出したところ
を整備して、大桟橋みたく設えたその根元となる所。
そこに、町への入口もある。
しかしながら、先ほど二人が瞰下したように、町とは言っても、壊残していると
しか思えない掘っ建て小屋が、日照など関係なしにゴタゴタと建て込んでいるばか
り‥‥。
クレーター内の海と陸地を確然と区切る海端の堤は、緩やかな孤を描く白線みた
いに延びている。
その堤の上面がさらに砂利敷きで、道路としては歩き易いが、二人の姿を遮って
くれる物がない長長しい舞台も同然。
背景となっている枯竭し果てた板塀からして、二人を目立たせる効果だけが抜群
だった。
クレーターの底であるここについては、唯一ぬけられるメイン通りもあることな
どをdooがざっくり説明し終えているため、魁も不服を唱えることなく、戦戦兢
兢となりながら進み続けるしかない。
そんな魁へ、途切らせることなく言葉をかけ続けるdooだった。
──「あの桟橋も、波が寄せ集めて一筋にできあがった岩群を、ちょうどいいか
ら陸揚げ桟橋として、ここみたく工事したんでしょうね」
「‥‥なるほどな‥‥それでも、結構な工事だったんじゃないか? 幅はさほどな
くも距離があるし、今のところ、ちゃんともしっかりもしてるしさ‥‥」
「だって、やったのは連れて来られた人族、特に人素族たちだもの。だから今でも
ちゃんと歩き易いぃ」
「‥‥じゃぁ、この町には、オレたちと見た目の変わらない人素族が住んでるわけ
か、大勢?」
「たぶんね~。大勢とまでは、言えないかもだけど」




