004-24
「つまり、鬼も必死ってことだろ。悠然といっとこうぜ、ここは」
「どれだけ言葉を費やそうと、人を人としか思わない鬼とはわかり合えないわっ、
百言は一半死にしかずよ、死なない程度にボコらなくちゃダメなの」
「‥‥初っ端からそれじゃ、行きづまる前に気がつまるっての、この先‥‥」
魁の衛護役と名乗った小癪なdooが、その魁から窘められだしたことで興を咲
かせ、思うも著く、dooの小癪さに手を焼かされていく魁の様子に、すっかり見
和いで目を細めていた老鬼女隊長だった。
けれども。内容がよくわからないまま、二人の交わす話に黙りこくって耳を傾け
続けるにも、やはりいい加減に限界がくる。
そこで老鬼女隊長は、当然鬼らしく、鬼とも組むようなことを語り放く。
「ほんに今一つわからぬが、具足師の方は、その眉目秀麗な男ぶりに違わず、甘や
かなようではないか」
「んんっ?」魁の左眉がヒクッと反応‥‥。
「うぬは拙身の手回りにして、ほってと可愛がってくれよう。これは、拙身の残生
にも、しばらくは張りが出ると言うものだ。かっかっかっ」
「んだとっ? 今何てほざきやがったこのクソ鬼ババがぁ!」
魁はdooを置き捨てにする反応速度で一歩前へつい出る。右手で明王斬りの柄
も、みしと握り締めていた。
「おんや、弥珍かにも人素族風情の分際で、実に不行儀ぞろいなことよ。うぬのそ
の威勢、衛護役をなくしたあとも続くとよいがの?」
「あん? どう言うことだよっ」
「可愛がり甲斐が損なわれては、つまらぬからな。怪しからず柔な術を使うその娘
ッツコは、拙身の鬼道で消し炭にしてくれる」
「アラそう? ワタシの魔述があんたには、鬼道の異験で利かないって疑いもしないも
んだから、ホブゴブたちが瞬屠されちゃっても、そうして余裕ブッこいていられるわけ
ね~」
今度は魁に先んじたdooだが、魁の肩越しからの口出しのみ。
なので、魁は心頭に発した怒りそのままに、老鬼女隊長へ面罵に出る。
「‥‥一応会話が成立するってだけの、鬼畜生かよやっぱ」
「さてさて、具足師の小僧ッコまで、悪タレ口を叩き連るか」
「ったく。ホント自分本位も甚だしい欲求を、イタさも自覚できずオレにブツケて解消
しようっていう、人の皮を被ったケダモノどもと変わりゃしねぇな」
「かっかっかっ、まっこと人素族はキャンキャンとよく吠える。劣弱な術がホブどもに
効いたからと、調子にノりおってからに」
「ぁんだとっ。単なる素の人間を、マジガチで激怒らせたらどんだけの地獄を見ちまう
か、オレが全身っ全力で思い知らせてやるっての!」




