004-22
いきなりそんなことをされた魁も、わけがわからないために、自然と左側を晒す
横向きになって、腰の明王斬りを、老鬼女隊長へ見せつける格好になる。
「うぅむ‥‥護身剣には心許なく、通り手形代わりと言ったところか。確かにリヴ
ィダスとの関係はありそうだが‥‥」
「でしょでしょ~?」dooはニヤリ度を抑えたほくそ笑み。
「ほんに、具足師にせよ魔術使いにせよ、招聘を受けるにしては、うぬら若すぎや
しないか?」
「求められたとおりに仕事をやりおおせることに、年齢なんて関係ないでしょ」
「‥‥年齢だけの話ではない。殊、うぬは全てがな」
「ワタシたちからすれば、あなたみたいな貴媼が、沿岸警備に就いていることだっ
て疑問だわ~」
元の世界でもオトナの癇に障るであろうdooの正論吐きに、意外にも、ムッと
顔ではなく、ニッタリとした笑みを浮かべる老鬼女隊長だった。
「そうか。うぬらは、人族でも人素族の常識だけで暮らせる安平な土地から、のん
このしゃあとやって来たと言うわけだな?」
「ウ~ン‥‥そこまで暢気に、のらくらとは来ていないと思うんだけど」
「ならば、拙身には好都合――」
「ンン~? 何だって言うのよ一体」
老鬼女隊長は右手を振り伸べ、ホブゴブリンたちへ号令を発する。
「いそうれホブどもっ、その不行儀な娘はくれてやるから好きにせよ。具足師の方
は、我らが御国に奉公してもらうとしよう」
「アラ、そうきちゃうわけ~?」
「何かと目障りなリヴィダスに見す見す渡しては、拙身の沽券に関わるのでな」
「そ? ならワタシも、好きにやっちゃうまでなのっ」
単にその言葉だけで、dooは何もしていないにもかかわらず、囲い込むための
配置を整えきる前に、ホブゴブリンたちは五匹同時に倒れ込み、ぐったりと動かな
くなってしまった。
恰も瞬間的に意識を失い、全身から力がぬけたという感じの、一ヒネりなやられ
っぷり。
「チョッ、待てってdoo。何をやらかしたのか知らんけど、これでもう少し話が
できるようになったんだ、穏便に済ませる方向でガンバってくれよ」
魁の口入れには、両手を大きく広げての呆れ様を見せるdooだが、顔つきは穏
然なままで、視線も老鬼女隊長からチラともはずさない。
「だから、至って穏やかに、手軽で便利な対処をしているんだけど~」
「そうだろうけどさ。感情も、情緒止まりじゃなく、情操までがありそうな相手に
は、いきなり倒すなんてダメだからな、人として絶対っ」
「エ~ッ。人としてとか、ズルすぎるぅ」




