004-21
dooの言いぐさこそ、ホブゴブリンたちと一緒に魁まで唖然とさせてしまう。
けれども、鬼たちが人素族を直接喰らうことはなさそうな、ホブゴブリンの言い
分から、魁はそのまま黙り続けて、一先ず様子見と洒落込むことに──。
「ほぉ‥‥確かに、人族の大陸はもう眼界にはないようだが、それをしたのがうぬ
らとは、にわかには信じられんがな」
ホブゴブリンたちが、dooと魁をいつでもスグに囲い込めるよう、ほぼ等間隔
の半円状でつくる横隊に、オーガに乗った老鬼女隊長がのっそりと加わり、口を開
いた。
「にわかじゃなく、ゆっくりじっくり信じてくれたら、それでいいわよ別に」
「あな、いっぱしの口を叩く‥‥どこか風変りなその出で立ちといい、うぬらは一
体何者じゃ?」
「ワタシはWizよ、凄腕魔述使いと言えばわかってもらえるかしら? これまた
腕っこき具足師である彼の衛護役で、これからリヴィダス侯の領国へ向かうの」
「リヴィダス? ‥‥ふぅむ」
「こっちへ渡る手続きを、ちゃんとしようかと思ったけど、渡れそうだから渡っち
ゃったぁ」
「魔術使いとな? それゆえ、言葉つきから胡散らしいわけか」
「思ってるジュツが違うかもだけど、そう言うこと~」
「‥‥よくわからん。どう言うことか?」
「人族の国や貴族に雇われている間者だとか、疑われちゃったら大迷惑ぅ。なので
ワタシのありのまま、形式張ったことは一切しないようにしているの」
「なるほど‥‥しかし海原を約めるなんぞ、鬼道でも、奥義中の奥義となろう術が
使えるとは思えぬが‥‥」
「言ったでしょ、ワタシはWizだって~。鬼道の奥義も、ワタシにはチョチョイ
ってことぉ」
「術は、解けずとも、効力を妨げれば勝手に元へ戻る、それならば比較的容易いこ
とは知っている。うぬは、それをしたと言うことか‥‥」
「アレレ~、まぁそんなカンジィ? て言うか見てよ、彼が腰に差している刃のな
い抜き身を。これが何よりの証明でしょ?」
「‥‥無刃ゆえ鞘なし。しかも蜷色とな‥‥」
「ネッ、わかったでしょ~? ワタシたちを、どうあつかうべきなのかも能く能く
とねっ」
「‥‥一体何がか?」
「ワタシたちを無事行かせなかったら、リヴィダスがアージェンに攻め込んじゃう
わよぉ。そもそも、険悪な間柄って話を、ロンイェールビで聞いているんだから」
dooは魁の前からヒョイッ、軽やかに左横に跳び退いて、これよ、これこれ!
と、両手を繰り返し前後させての指差しで、明王斬りを猛フィーチャー。




