004-16
「‥‥て言うか、あまりにも白白しすぎることだけは言いださないでくれよな。口
は合わせるけどさ、表情や態度まではムリがあるって」
「アラァ、噂をすれば、だわ~ホント。あのホブゴブは警邏隊の一員よきっと」
dooは、登っていた緩やかな傾斜の先から姿を現したホブゴブリンに、臆する
どころか、手を大きく振りだし歩調まで速めていく。
対してホブゴブリンの方は、何のリアクションもなく、無表情のまま即座に踵を
返して姿を消した。
それにより、丘の向こうは、こちら側以上の斜度で下っていることを魁に感じ取
らせる。
「マジかよ‥‥槍を持ってたじゃないかっ」
「だって警邏隊だもの、持つでしょ槍くらい」
「それに、町で見たオーガよりずっと小さそうだけど、鬼っぽいって言うか、体つ
きだけが人と同じなバケモノだぞ完全に‥‥頭の皿と嘴がないカッパだまるで」
ホブゴブリンの額には、二本の短いツノが生えており、口角からも、鋭い牙が突
い立っているのが、魁には見えた。
さらには、胴鎧と、腰に前と左右を防護する三間草摺を垂らした組み合わせの、
腹当タイプの鎧まで身に着けていたように思う。
腰に差す明王斬りへ、添えるみたく握っていた魁の左手にこもる力が、無意識に
強くなる。
腹当は、オーガが鎧っていた胴丸よりも、簡易化された下っ端用ではあるけれど
も、動き易く、小競り合いから大立ち廻りまで、戦闘の機会がより多いということ
を意味しているからだった。
「甲羅も背負っていないけど~。でもゴブリンじゃなくホブゴブなら、無闇に襲っ
ては来ないわよ」
「どして‥‥」
「警邏隊の隊長は必ず鬼人で、オーガに乗って、四、五匹のホブゴブを従えている
のが、一小隊って編制だから。一応は統率されているの」
「鬼人のお出ましかぁ‥‥ツいてないよなぁ、やっぱ」
「今の、即応で知らせに戻るカンジなら、隊長はきっと、ワタシたちの話も聞く耳
があるはずぅ」
「どうだかな‥‥オーガに乗るって、乗り物なのかよこっちでは?」
「威光顕示も兼ねた用途のオーガも、いるってこと~」
「ガチかよ‥‥この先ゴブリンも出て、無闇に襲いかかって来るんじゃないか?
あいつら四、五匹なんかじゃなく、群れで行動するだろっ」
「ま、これから見ればわかるでしょ。ゴブリンの心配も要らないわよ」
「何で、そう言いきれるんだよ?」
「ゴブリンは、人族からの略奪生活が基本だから。こっちに残っているのは、完全
に夜行性で、夜も更けないとウロつかないし、ほかの鬼族にとっても害獣同然で、
駆除しちゃってかまわないの全然」




