004-15
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魁のまわり気は、完全な取り越し苦労に終わり、二人して難なく大陸へと渡り行
くことができた。
しかしながら、道らしい道などはない。
ただ地面が硬くて、丈高い草も生えることができないために歩き易い、というだ
けの理由で、うねうねと、岩場や雑木林や湿地を避け進んで行くしかなさそう。
その殺風景さに魁は、dooの手前おくびには出せずとも、胸中では抗いようも
なく、げんなりとしてきてしまう。
遥か彼方に、峭絶で忌忌しげな、いかにも鬼らしい印象しか懐けない山脈が、画
然と横たわっているのも望める。
とにかくは、その麓まで広がっていることが明明白白な荒れ野には、真向かうこ
となく、dooが磯から崖岸に沿って東へと歩きだしたのには、内心ホッと胸を撫
で下ろした魁ではあった。
けれどもdooから、目指す港町に着く前に、鬼族の警邏隊と遭遇するかもしれ
ないと言われては、ぬるらか気味だった魁の態度も、一気にデフコン5から3へと
跳ね上がる。
通常よりも、高度な防衛準備状態に入らざるを得ない。
「なぁdoo? 隠して愉しんだりせずに、最終目的地までどんな行程なのかは教
えといてくれよ」
「ダメ~。だって相手次第だから、どの段取りになるのかわからないんだもん。そ
れより何なの、その、あからさまな緊張度急上昇はぁ?」
「だって、警邏ってパトロールのことだろ。正式な手順を踏まずに鬼の領土へ侵入
して来たオレたちには、間違いなくヤバい相手じゃないかよ」
「ワタシを信じて任せておけば、全然大丈夫なんだけど~」
「‥‥いや、だから、相手次第で段取りが狂っちまうなら、大丈夫かもしれないだ
けで、全然大丈夫とまではいかないだろが」
「行く道自体は変わらないし、むしろ鉢合わせちゃった方が、手っとり早いもん」
「ったく、dooが愉しむための段取りかよっ。そんなの、それこそむしろ、手っ
とり早く済ませちまったらマズいってのっ」
「大陸が南へズレちゃったから、ここからじゃ窺い知れない、奥の方にある山脈を
覆った万年雪が、溶けだしちゃうかもでしょ?」
「ガチに? ‥‥で、どうなるんだよそれ?」
「鉄砲水や山津波のおそれがあって、それを早いトコ知らせてあげなくちゃ。そう
すれば、ワタシたちのあつかいも、悪くはならないんじゃないかしら~」
「‥‥その原因がオレたちだってことは厳秘だからなっ。鬼族との交渉事は全てd
ooに任せるけど、調子にノって絶対に口を滑らせるんじゃないぞ」
「どうでしょ? まぁその時はその時で、どうにでも言いのがれて見せるからぁ、
魁も絶対に白かすことなく、ワタシに口を合わせるようにねっ」




