004-12
「マジガチかよっ?」
魁は今一度、まじくじと明王斬りを見ずにはいられない。祟ると言われてしまっ
ては、手放す不敬などできなくなる。
「次からもただ単に、魁が、後悔して凹まない斬り方をすればいいだけじゃないか
しら?」
「‥‥いいのかそんなんで? マジガチにっ?」
「ワタシは魁となら、地獄の底でも何のそのだからぁ。魁が、鬼人連中の首魁を斬
ろうと、魔王を斬ろうと、別に斬り捨て御免だって、全然かまわないんだけどぉ」
dooの、そんな口任せっぽい開陳と言うより吐露などは、取り合う気も起こら
ない魁だが、耳に引っかかった唯一のワードから、確認をしておかないわけにはい
かなかった。
「‥‥鬼人って、話せばわかり合えるかもしれない鬼も、いるってのか?」
「今喰いつくのそっちぃ? 話にならないのは魁の方よね」
「いや、わかったって。命を奪うことには、絶対に使っちゃマズいことだけは骨身
に沁み渡ったし、肝にも銘じるけどさ」
「ウ~ン。ならいいじゃないの、何が気になっちゃったわけぇ?」
「やっぱり、襲われた時には、破壊魔ならぬ斬り立て魔になって、敵が唖然となっ
てる隙に、逃げて避けるしかなさそうなのが‥‥忌ま忌ましいよな」
「つまり精神が健全なら、そんなモノなのよチートなんて。わかったら、もうワタ
シにズルいって言わないようにねっ」
「はぁ? ムリムリ、それがもうズルだろが。dooの精神までもが健全みたく、
サラッと言って退けるなっての」
「ウフ~、調子が戻ってきたみたいぃ。それじゃぁ、とにかく町の人たちが気づい
て見に集まりだす前に、さっさと先を急いじゃいましょ」
「‥‥つくづく不健全だよなぁ、dooのその、オレをチョコチョコ変に試してみ
やがるトコッ」
「またゴネだすわけ~? どっちが不健全なのかしらぁ?」
「大丈夫だっての、行くしかないんだし。もう諸諸を腑に落としていくのも、全部
あとまわしだ」
「そうそう、とにかくあとまわし~。あとのことが考えられるようになっただけ、
健全さを取り戻せているんじゃなぁい?」
「て言うか、ヒマな時にヒマ潰しでするくらいじゃないと、異世界の非常識さには
免疫がないだけに、どうにか健全を保ってきたオレの精神も病みだしちまう」
まず動かなくてはならないことが、何よりの救い。
言葉どおり、遅疑なく魁は崖っぷちまで進み出ると、左右に首をふって崖の下り
られそうな箇所を探しにかかった──。
「どう見たって、あそこに突き出している岩へ飛んじゃうのが手っとり早いの。魁
の全力なら充分届くし、魁が届くならワタシも行けちゃうしぃ」




