004-11
「信じられないっての。逆に疑いって言うか、疑問しか湧いてきやしない」
「まったくぅ。なんて言いぐさなのよ~」
期待ハズレの本意なさを、表情だけでなく息精張った癇癪ポーズでも訴えてくる
dooだけれども、今は魁もそれどころではない。
「海はどこへ行ったんだ? あんな、広範囲とか言えないほどの距離と深さが消え
ちまって、これから一体どうなっちゃうんだよ?」
「そんなことまでは知らないもん大体。どうにかなるだけに決まっているじゃない
のよ」
「何だそれ? どうにかなるで片づけられることじゃないだろっ。あれだけの海が
なくなったら、この世界の地盤って言うか地形って言うか、地軸とか地殻構造とか
ヤバすぎだろが?」
「ウンウン。そうしたこまかいトコまで気にできちゃうように、伸び育ってくれて
嬉しいわぁ」
「ぬかしてる場合かよっ」
「魁こそ、腰がぬけかけちゃっているとか? もしかして~」
「ぬけもしないってのっ。とにかく、ほかへズレ込んだとしても、津波とか洪水と
かでも、天変地異クラスの甚大な被害が出てる場所があるんじゃないのか?」
「大丈夫でしょ。科学力じゃなくて、大自然の秘奥な作用で起した現象になるんだ
から」
「大自然、って‥‥」
「明王を斬れるほどか、明王が斬るくらいなのかは定かじゃないけど~、どんなに
凄まじいチカラだろうと、それを発動させる世界自体が壊れちゃうことまでは、許
される道理がないし。そんな被害を出したくない魁が斬ったんだもん、大丈夫ぅ」
「‥‥なんか、科学力じゃムリってのはすんなり腑に落ちたけど、科学こそ自然の
理のはずなのに、タチ悪く聞こえちまうよな‥‥」
「相補性とか矛盾的同一とでも言いたいのかしらぁ」
「知るかよ。ま、自然を無視して、人が勝手に使って破壊しまくるのに対して、自
然が許してくたからできたってことなら、気がヒけずに済むけどさぁ」
「それで? どうなのどうなの、チートパワーが使えちゃった感想は?」
「‥‥そっちは気がヒけちまってるよ完全に。オレの身のほどに、全然相応しくな
いって」
「何なのそれ? まったくモォ~」
「なんだか、オレ自身じゃなく、全部この鉄刀のチカラだってことに、救われてる
カンジすらしてきてるくらいだし‥‥」
「間髪入れずの、責任のがれってわけぇ?」
「勿論、のがれられやしないけど、オレに全責任が負えるはずもないしさ‥‥」
「返すとか言わないでよね。魁しかチカラを引き出せないのに、もう引き出しちゃ
ったんだから。つれなくすると鬼鬼しく祟っちゃうかも~」




