004-09
ニンマリと、dooは両手でフィンガーガンズを撃ちまくる。対して魁は、眉を
顰めて鼻白むしかない。
「‥‥笑えるかよ、ったく」
「とにかくワタシには絶対ムリッ。この世界では唯一、魁だけがチカラを引き出せ
るんだもん。さぁさ、渡れない海なんかバッサとやっちゃって~」
「バッサとか、そんな簡単に言われてもなぁ‥‥」
魁は立て持った刃のない明王斬りと、崖下に広がる青黒い海を、交互に見やる内
に、自分の頭の中の真っ白さを、くきやかに自覚できてくる。
「簡単なの、マジガチで。さぁ早く~、大陸に踏み行ってからが半日がかりになる
んだから。魁がワタシの段取りからハズレるだけ、どんどんズレ込んじゃうぅ」
「‥‥一応マジガチにはやるけどさ、具体的にどうやればいいのかを言ってくれな
いと。ここはさすがに、女子の典型ノりで伝わるなんて発想はムリだっての」
「だからぁ、斬れると信じて振ればいいの思いきり。だってそれだけなんだもん、
鬼と縁深い蜷源の縁者が、鬼の大陸を近づけるためになら、ムリなんてありはしな
いわ」
「‥‥そんなの、天才バッターが語るホームランを打つ極意も同然じゃないかよ」
「アラァ、チートを熱望していたクセに心がまえは全然だったわけ? その大刀だ
って間違いなく、選ばれし者が賜った聖剣や魔剣に匹敵するチート級アイテムなの
にぃ、ただ魁を選んだのがワタシってだけで~」
「なるほどな。そこで、オレがdooを信じきれてるかも問える、って段取りでも
あるわけかよ?」
「ウフッ。そのとおりなの~」
「ズルすぎだろが。マジガチにはやってみるけど、完全不発の空振りに終われば、
大笑いしながら、信じてないって、オレを詰って愉しむ段取りにも、なってるに決
まってるしっ」
「とにかくワクワク~。せめて大笑いと詰りを回避したければ、成功させちゃえば
いいだけよ。世界がどうであれ、マジガチの信念に基づく覚悟のない者に、チート
が使える道理がないんだから」
「‥‥何だよ、その一理ありそう仕立ての詭弁は? 何の道理もなく、世界をどう
にかできちまうのがチートだろが」
「それは~、単なる見解の相違なの」
「マジガチの信念や覚悟があるくらいなら、チートなんかなくたって、世界のどこ
かで君臨できちまうってのっ」
「そうかもだけど~、チートが使えたって、世界のどこかで君臨するには、マジガ
チの信念や覚悟は不可欠だもん」
「‥‥そんなド正論、聞く耳なんかもってないっての。それも今、こんなトコでな
んだからな」




