004-08
「礼儀なんていいの魁も。やってくれるなら、マジガチに~」
「ああ、それで上手くいけば、盛りあがりも自然にジャカスカするって。不自然さ
があっても心から愉しめるのかdooは? どっちがいいんだよ?」
「まぁそうね‥‥ホント、今でもそう言う屁理屈だけは、どんな時でも達者なんだ
からぁ‥‥」
dooは一歩立ち位置を変えて、段取りをちゃくりちゃと仕切りなおす――。
「‥‥だからそれ何なんだ? オレにどうしろってんだよ一体?」
「それじゃぁお願い。その明王斬りで、行く手を阻んでいる海を斬り退かしちゃっ
てちょうだい」
「は? ‥‥オレはマジガチでやるって言ったのに、そんなに信じられないのかよ
っ? 駄弁の弄し癖があるdooにしたって、酷すぎだろが」
「蜷源家に縁のある魁が振るえば、マジガチにできちゃうから言っているの、信じ
てやってちょうだいな」
「‥‥信じるも何も‥‥どこまでマジガチにフザケてんだか?」
「魁の方こそ、ワタシを信じているのかが、これでマジガチに試せちゃうわねっ。
できなかったら~、はてさてどんなグレ方をしてあげちゃおうかしらぁ?」
実し顔とも事成し顔とも取れるdooの面持ちに、魁は内心さわさわとシラけだ
してきてしまう。
「‥‥縁なんてあるもんか、祖父ちゃんならまだしも‥‥あるとしたって、オレは
蜷源家から依頼された鎧の浄拭作業を、チョット手伝った微微たる程度だし」
「チョット忘れすぎぃ。将来の三七代目当主と会って、ケンカ別れしちゃうくらい
に、うち解けたおしゃべりをしているじゃないのよ」
「んん‥‥あるかそんなこと、何言ってんだよ?」
「あったのっ。お互いが人となりまで認知し合えば、もう立派な縁なの。それから
先はいくらでもこじつけて、太くも広くもできちゃうモノだし~」
「ウ~ン──」魁の脳裏で、桃太郎と金太郎を足したような女子の顔が再浮上する
も、急膨張して弾けて消えた――「認知はしてるのかもだけど、なんか、思い出し
きりたくないんだよなぁイマイチ」
「モォ、煮えきらないわねイマイチ~」
「まぁ元いた県で蜷の字が付く姓は、蜷源の家来だったことを標榜してるのも同義
みたいだけど、そんなのを縁と言うなら、縁者なんて山ほどいるだろが」
「それで充分でしょ、この世界では。そしてその鬼の血で染められた大刀は、血の
契約の下に振るうんだから」
「鬼の血だぁ? そんな世迷言まで、こうも世迷ってる時に言うなってのっ」
「そうまで言う魁は、実は血迷っちゃっていたりして~?」




