004-05
「その、一応、ってのが思いっきり引っかかるんだけどな」
「魔術が一つでも必ず成功させられるなら、もう魔術師だし。魔法まで使えれば、
とりあえず魔法使いを名乗れるわけだしぃ」
野暮は承知ながらも異世界だろうが至極当然とばかりに、魁へ立てた人差し指を
振り振り、片笑みまで浮かべてdooは言い添えをする。
「‥‥一応の次はとりあえずかよ? 習得意欲なんか湧くかっての」
「だからいいの。魁は、ワタシに言うだけで済んじゃうことなんだし」
「だからそれがなぁ‥‥」
「だから何よ? 非常識に囚われすぎ~。ワタシだって、常識として許せなくなっ
ちゃうんだからぁ」
dooのまたしてもの口車に、のせられかけたままではいたくはない魁ではある
ものの、四の五の言い続けても詮なきこと。ここらが引き時と、話頭を捻転。
「‥‥にしてもさ、まず向かうのが魔族のトコじゃなく、鬼族のトコだってんだか
ら、間怠さで気慰めにもなりゃしないよな。それをヒネくれてるって言うんなら、
モォ好きに言ってくれ」
唇を尖らせてそっぽを向く魁に、dooは正面きって唇を返す。
「ホンット、離れている間に随分とヒネくれちゃったんだからぁ。魁に嫌がらせし
ていた連中も、今の魁と全く同じ心理だってことまで忘れているでしょ」
「‥‥フン。忘れたっての、そんなことは‥‥」
「最強無敵のチーターだったら、この世界でも、くだらないチョッカイをされ続け
るハメになるんじゃないの?」
「‥‥かもな。最強無敵相手に真っ向から正正堂堂挑んでくる奴なんて、そうはい
やしないし。素直に認めて受け容れる奴らも、往往にして利用価値の高さが目当て
だろうからな‥‥」
「でしょでしょ~?」
「‥‥オレも相手がdooだから、ヒネくれる程度で済んでるのかな? でも、エ
ゲツない嫌がらせまでは絶対にしないし、ヒネくれ方だって歪むまでじゃないと思
うしさ」
「嫌なモノは、意地でも嫌なだけなのよねぇ魁は。意地を曲げられないから、歪み
もしないわけ~」
「ったく。言い得て不妙ってんだ、そんなの‥‥」
「それに信頼関係っていうのは、お互いのバランスだもん。この世界に慣れていく
内にとれていくわよ、ワタシたちならちゃ~んとねっ」
「‥‥だといいけどなっ」
「無論でしょ、だからイチイチ焦らないの。焦りが焦りを呼んで頭の芯が真っ白け
だから、何でもシラけるしかなくなるんじゃない?」
dooにまた、中心から離れてはいるが大きな図星をブチぬかれ、何事も大して
深くは考えられず、上っ面な言動をしているだけの自分に、ようやく気づく魁だっ
た。




