003-19
走りだしたdooを追い次がいつつ、魁はヤケに懐かしさを覚えてしまう‥‥。
かつて、毎日バディーを組んでバトっていたネトゲの、リアルな3DCGによる
VR空間。
先行しがちなdooに警戒を促しながら、その華奢な背中に妙な安心感をもらっ
ていたのは、今も魁には全く同じと思えてならない。
現在のdooのやはり華奢な背中に向けても、魁は同じように呼びかける。
「‥‥もう、しっかり聞き入れるから話してくれよ、わかってること全部っ」
「全部ぅ? いいけど、しっかりなんて聞き入れられるのかしら~」
「嘘やはぐらかしはナシだからな。dooの口車は全パターン憶えてるから、スグ
気づくしっ」
と、目下の魁では、dooへ警戒を促すどころか、自身の置かれた立場が、完全
に腑に落ちたことを伝える曲言になっていた。
「ウフッ。OuiOui~、魁ってばイチイチ愛んだからぁ」
「英語以外の言葉をブチ込むのも、はぐらかしパターンの一つだったよな。って言
うか異世界なんだ、どうせなら戯れ言は、こっちの言葉で吐きやがれってんだっ」
「それはチョットばかりウザそうね~。言葉の問題は、既に魔述で、支障のない程
度には解決しちゃってあるの、この世界向けに」
「‥‥ガチかよ、いつの間にっ?」
「戯れ言の部分だけを、さらに書き換えなくちゃならないし、吐いたあとから、イ
チイチ意味と可笑しさを説明するなんてことは、魁にだって興醒めもいいトコにな
っちゃわなぁい?」
「‥‥て言うか、オレの戯れ言にまでマジな答えをするなっての。ここはdooの
ための異世界、この世界の主役クラス、ヒロインはdooなんだ」
「エ~ッ、何なのそれぇ」
「だからイチイチ気なんかつかうな。オレには精精、漫遊のお供程度の温情でも、
かけてくれりゃ充分だって」
「わかってくれたわけじゃなくて、ただヒネくれてシラけただけなの~?」
dooはチラと魁をふり返るも、走る速度は落とさない。
「‥‥だって、そう言うことだろが」
「どう言うこと? ここは、魁が現実逃避した妄想世界ってことじゃなかった?」
「‥‥それは、もうわかったって、違うことは」
「大体、どこだろうと、魁が主役クラスのヒーローになるかは魁次第でしょ?」
「だから‥‥そう言うことじゃないんだっての‥‥」
「なりたいのなら、ワタシを使ってなっちゃえばいいじゃないの。魔述が直接使え
るのと、ワタシが魁のためにしか使わないのと、一体何が違うわけ?」
「ったく‥‥」
魁にはまるで違うものの、そのビミョ~ながら明確なまでの説明的反論をしだせ
ば、dooを納得させる前に息切れをしてしまいそう。




