003-18
dooの甚く場違いな余裕に、今度はすくと躍り上がらされる魁だった。
「何ほざいてんだよっ。それより救助が先だろ、早く瓦礫の山から引っ張り出さな
いと。今に火事が起こって、余計に犠牲者が増えちまうっ」
「そういう機転はよく利くし、根がやさしい善いコなのよねぇ魁は」
「な‥‥ってオイ! 自分でもやりすぎたからって、現実逃避してんなよっ」
「大丈夫だってば。誰も掠り傷一つしていないし、火災にもならないからぁ。少し
すれば、全員目覚めて動き出すわよ」
これまた場違い甚だしくも、余裕に綽綽までつくdooの口ぶりに、魁は冷や水
を浴びたかのように思い醒まされた。
場違いに感じることからして、思いきり心得違いをしていたのは自分の方ではな
いか? という発想の逆転までが起こって、魁は苦味走った表情にもなる。
「‥‥dooが全部、最初からそうなるようにやったってのか?」
「勿論そおよ~、全部魁のためにねっ。ワタシがいれば、鬼族も魔族も、心安らか
にメリメリのボキボキなんだから」
「嘘だろ? メリ、ボキだなんて‥‥」
「それも、魁はワタシに言うだけでいいの、わかってくれたかしらぁ?」
「わかるかよ! ‥‥これほどの責任、なすりつけられたって、オレはどうにもで
きやしないってのっ」
怖ず怖ずと四顧する魁だった。
「なすりつけられやしないから、安全、安心、大丈夫~」
「こんなあり様だってのに、誰一人ケガしてないんだな? マジガチだよな?」
「当然でしょ。ワタシだって、心やさしい善いコだもん」
「あのなぁ‥‥」
「鬼族と魔族に近い町だからって、あることないことキナクサいネタを捏ちあげて
は、ボロく儲けている一帯しかバキバキにしていないしぃ」
「なんか、わかりすぎて当惑してきた。転移パニックで、異世界モノのセオリーど
おりに思いあがっちまってたよな、ホント自己中に‥‥」
「でしょ。で、何が?」
「この町からしてマジガチに、差しあたりでも留まれるほど、安全でもなけりゃ安
心できるトコでもなかったのかよぉ」
「アレレ~? ホントにわかってくれちゃったカンジなんだけどぉ」
「あぁ、ホント悪かったって。‥‥とりあえず、ここは混乱に紛れて逃げとこう。
自分から殺されに名乗り出るほど、善いコじゃないってのオレは」
「無論よね。じゃ急ぎましょ。復興に向けて、特に器用でマメな人素族の出入りが
多くなるから、この町も本来の健全な活気をとり戻すんじゃないかしらぁ?」
「‥‥復興なんて、重みをつけて言うなっての‥‥」
「でも、そうなったあとでなら、住み着いてもいいかも~」




