003-16
「ワタシは、わかっていることを、魁が聞く順に答えているだけだし、その方が早
く落ち着くと思ったのに、勝手にネガティヴに考えちゃってぇ」
「悪かったな、ネガティヴ思考が基本なんでねっ‥‥」
「それ、進化心理学や行動生態学、ゲーム理論からの見地だと、確かに生き残りに
は強いけど、ポジティヴ思考にもきり替えられなくちゃ、長生きや繁栄なんてムリ
ムリのムリ~なんだからぁ」
「‥‥はん。こんな世界じゃ、最初からムリゲーだろが長生きなんて。何、繁栄と
か与太こいちまってるんだか? あ~恥ずっ」
「結局やっぱり大失敗よ。魁は、ワタシから離れちゃダメだったのっ」
「関係ないだろそんなこと。今、こんな、とんでもないトコにいるんだぞっ」
「でもその、とんでもないトコがいいんじゃなかったぁ?」
「ったく‥‥まぁなっ、もう人間が人間の皮を被ってない獣なのは、半端でウザ面
倒な配慮も遠慮も思慮も憂慮もしなくて済むから、千喜万悦の歓天喜地ではあるけ
どさっ」
「ホラァ、でしょ~?」
「鬼や魔族までいるとなりゃ、千慮しようが一遇の不慮でお陀仏なんだ。最悪から
考えないと、生き残れやしないってのっ」
「独りで半端に、人間の皮を被ったウザ面倒なケダモノたちを相手に、焦心苦慮し
続けてきたもんだから、魁は、ワタシすら信じられなくなっちゃっているのよ」
「‥‥‥‥」図星を突き破られて耳が痛すぎる魁に、返す言葉などありはしない。
「ワタシを守ろうなんて考えず、魁は魁らしくやればいいのっ。ワタシが千障万碍
から守るんだから」
「‥‥いやはや。なんか、マジガチで言ってるぽくて、薄ら怖っ」
「マジガチだもん。なら、次は何をして見せちゃえばいいわけ? 信用するまでや
ってあげるの。言いなさいよ早く、ホラァ~」
立ちはだかるように、下からムッと顔をヒネり上げてきたdooに、魁は足を止
めるしかなく、さらに無慮なdooの近すぎる顔から、一歩後退をも余儀なくされ
る。
「だから‥‥そんなに言うなら、鬼や魔族に勝てる自信の根拠を見せてくれって。
何がWizだよ、こんな半端な刀モドキ一本出されたって、信用できるもんか」
「ム~。それを借り受けるまでのワタシのホネおりを、早くも忘れちゃっているん
だからっ」
「結局dooは、わからなことはわからな~い、ムリなことはムリ~で片づけるし
さ、それを最悪の場面でやらかされたら、地獄もドン底。自分で自分の信用を、ポ
イ捨てしてるんだろがっ」
「モォ~やってやるぅ。ヤバすぎだから、町を出てからチョットずつ、見せようと
思っていたのにぃ」




