003-09
「はいはい‥‥でもさ、まずはこの町で働いて、顔も隠せるフード付きマントとか
入手した方がいいって」
「エ~ッ、このワタシの出で立ちに、そんなのは似合わなくなぁい?」
「そう言うことじゃないだろが。dooのその格好、見ようによっちゃエロくない
か? 高値で売れそうな女子だとわからなくしないと、ヤバいってマジガチにっ」
「キャ~、魁がまさかも、狙いどおりのことを口に出してくれちゃうなんてっ」
「‥‥狙ってたのかよっ。ったくモォ~‥‥」
「ネェネェ、高値って、魁は幾らくらいだと思うぅ? いっそワタシを売り飛ばし
て、一儲けしちゃうってのはどお? ワタシならスグ逃げて来られちゃうから、稼
ぎ放題よ~」
左下から顔を覗き込むように言ってくるdooのウザさを、魁は歩調を速めて疎
んじる。
「‥‥バカ言ってんなっ。オレの服装のビミョ~な異質さだって、目立たなくもな
さそうだしさ。この世界に、ジーンズやスニーカーもないだろきっと?」
「さぁ? ワタシわかんな~い、バカ言っちゃうのやめるつもりないしぃ」
「わかったから。‥‥もうブータレずに歩くから、勘弁してくれって」
「ウフ~、わかったわぁワタシもっ」
「でも、ヤバそうになったら、ダッシュで逃げるしか手はないんだ。dooは重く
はなさそうだけど、肩に担いで走っても、スグ追い着かれちまう。獣人相手だった
ら、オレ一人でも逃げきれやしないだろうし」
「それってお腹が痛そう。せめてオンブしてちょうだいよぉ、と言うか、フィンラ
ンドスタイルが一番走り易いと思うんだけど~」
「何だそりゃ?」
「フィンランドには珍競技がたくさんあって~、奥さん運びレースでの、奥さんを
運ぶ方法の名称なの」
「フィンランドなぁ‥‥」
「向かい合った奥さんの股座へ、夫が頭を突っ込んで、そのまま立ち上がるの。奥
さんは逆さで、夫の背中からお腹にしがみつくぅ。夫が全力で安定して走れるスタ
イルになるわけ」
「ったく、dooもホントもうバカ言うなっての。町を出たらチョット、武器にな
りそうな物がないか探すからな」
「ウ~ン。探せるかしらぁ?」
「辿り着く一歩手間で、力尽きて斃れた駆け出し冒険者の剣でも、落ちてるかもし
れないだろ?」
「そんな不運すぎなアイテム、呪われるだけだと思うけど~」
「フン。どうせオレは、既に呪われてるようなもんだから、かまいやしないし。と
りあえずの戦闘力アップにつながる、エキストラスキルが手に入るかもだろ」
「そんなことは、ゲームでだってあり得ないの」




