003-10
「ゲームじゃないからこそだろ。あるかもだし、希望くらいもたせてくれよなぁ」
「そんなに徒手空拳が不安なら――ハイッ、この大刀でも背負っておけば? いく
らか気休めになるんじゃないの」
dooは右手を前へ差し伸ばすと、いとも自然に、トリックやギミックをどう疑
えばいいのかから、魁には見当もつなかいマジックを見せた。
「ってそれ、マジガチの気休めじゃないかよぉ」
「でしょ。けどけど~、銘は蜷戈阿遮羅嚢他ね、通称・明王斬りよ」
そうdooが突き出した小長い日本刀は、鉄青色蛇腹糸絡組上巻の柄に、蜷源の
家紋である稲光付四つ稲妻変わり菱を象った鐔が嵌る一振だった。
鈍く輝く青黒い刀身が、剥き出しな上に刃もない。
受けとってみれば、見た目ほどの重量はなく、握り具合もしっくりと言えた。
確かに刀芒から柄頭まで、優に三尺三寸を超えて長大だけれども、これを打刀に
分類してしまっていいものか?
しかな顔が浮かんできつつも、魁は、その疑点をも優に超える疑義を、はさまず
にはいられない。
「‥‥ってこれ、どうやって出したかタネ明かししてくれよ。どこから一体?」
「そんなこと、魔述に決まっているの。魁が具足師のように、Wizだもんワタシ
は~」
「ウィザードって、魔法が使えるのか? どして? ズルいぞdooだけ。何でオ
レは、リアルすぎてワクつけない具足師なんだよっ」
「エ~ッ、ワタシはワクワクなんだけどぉ」
「オレだって、どうせなら魔導剣士とか魔法も使える闘士とか、ファンタジーな職
業がいいに決まってるだろが。って言うかウィザードは男で、魔女ならウィッチだ
っての」
「いいのWizで。ワタシが使うのは、儀式が必要な魔術でも、呪文を唱える魔法
でもなく、世界の理を即妙に書き換えちゃう、魔の記述とでも言うべきスクリプト
クラフトだもん」
「‥‥あっそ。言ってろっての、知らんけど」
「ここの魔術や魔法の術式も、魔のチカラを発動させる基本コード的なモノに則っ
ているわけ。そこを自在にできちゃう達人級を、Wizって言うそうだからぁ」
「‥‥Wizねぇ、まんま達人級かよ‥‥」
「呪文詠唱の代わりに、魁がワタシにお願いすれば、あれこれと叶えてあげられる
んだから。魁だって、魔導具足師とでもWiz・テイマブル・アーマーメイカーと
でも、好きに名乗ればいいんじゃないの?」
「‥‥て言うか、もしかして、これからやる仕事って、具足づくりや修繕なのか?
それもまさか、鬼族の勢力圏へオレたちから、ノコノコ出向くってことじゃないだ
ろなっ?」




