003-06
遠く上半分だけが望める鐘楼を除けば、中層建築ばかりで、三階建てまでの物は
木造もしくはレンガ造り、それを超える高さは石造りのように見て取れる。
さらには、表構えや壁面を塗装した色味などから、様式と文化性が三つに大別で
きそうなことに思いが及び、自身と同じ人族だけでなく、鬼族と魔族も入り交じり
つつの発展をしてきた町なのではないかととも、一応考え至る魁だった。
「それで~、何か見当はついたのかしらぁ?」
dooの茶化しで、魁は推察のこねまわしから引き戻される。
「‥‥いいだろどうだって。第一、並んでるのはどれも何かを売る店か、宿かサー
ヴィス施設なんだろうけど、どしてどこも看板を出してないんだ?」
「さぁ? この町で暮らしていれば、どこが何なのか、知るともなしに知っちゃう
んだろうし。知りたい時は、誰かに聞けば問題ないんじゃないの?」
「そう言う問題なのか? 使われている言葉や文字がまちまちで、意味がないから
だとか思ったのに」
「意味がないからというのは一緒でしょ。もう少し街並みを見て行けば、どんどん
見当がつくわよ~きっと」
そう言い拵えたdooが、果断にきっさり歩きだしてしまうため、魁も不承不承
とつき従うしかない。
「‥‥だけどさdoo、日が暮れるまでってことは、今の陽の高さだと、半日近く
もかかる遠いトコなわけだろ?」
「ま、遠くはあるわね~、距離的にだと」
「ならやっぱ、何も知らないまま途中で何かに襲われて、早早とお陀仏じゃないの
かよっ?」
「フムフム、だいぶ落ち着いてきたようね。用心深さまで出てきちゃって~」
「あたりまえだっ。用心深くなけりゃ、ボコりまくられて、とっくの昔に元の世界
でお陀仏になってら」
「アラまぁ」
「触らぬハラッサーとヤカラどもに祟りなし、触らばビビる程度に冷やせ、で艱難
辛苦をどうにかすりぬけてきたんだから」
「どうでしょ? 気性的に魁がただボコりまくられるなんてあり得ないし、逆に大
爆発の鬼ギレまくりで、お陀仏にされちゃうのは、ハラッサーとヤカラどもだと思
うんだけど~」
「‥‥だから、それはそれで、もう社会的にお陀仏だろが」
「どして~?」
「そいつらを、オレ独りでボコり返しちまってみろ、寄って集ってフルボコにされ
るより救われない、サイテ~最悪の苦境に立ち嘆くハメになるだけなんだっ‥‥」
腕力沙汰のケンカに強いわけではなく、腕力沙汰のケンカを経験すらしたことの
ない魁だが、直接的な暴力をふるわれれば死んでもやり返す、やり返さなければ死
んだ方がマシという、根に持ちたくないからこその即ケリづけ小僧。




