003-05
「思えなくちゃ、妄想からぬけ出すなんてムリでしょ。筋の通った屁理屈じゃな~
い、これって一応?」
「dooが屁理屈って、索りようもないってのかマジガチで‥‥」
「ないない~。だからゴメンねっ、諦めてぇ」
「マジに戻れないっ? ガチに日本でもオレたち本来の世界のどこかでもなく、マ
ジにタルタロスチックな、ガチ異世界なのかここって?」
魁が完全に表情を曇らせたのに対し、dooは笑顔の輝度を一段上げる。
「ようやく本当にわかってくれ始めたようね。まぁ異世界の定義が、ワタシたち本
来の世界じゃないってことなら、そうなるんでしょ」
「‥‥じゃぁ、世界認識の崩壊ショックってヤツかよ、オレのこれ‥‥」
「けどもう、世界がどうとかからして、ド~でもいいことだわ」
「どして? いいわけあるかよっ」
「だって結局、魁の言う本来の世界って、魁の狭すぎる生活圏でしかないんだし。
そこ以外は、大同小異で異世界も一緒じゃないの~?」
「‥‥スッゲー屁理屈っ。オレの比じゃねぇっての」
「それに、本来の世界に近すぎると、何も変わりはしないってこと。一度脱出を成
功している魁なら、身に沁みているはずぅ」
「う~ん。確かにだけどさぁ‥‥」
「それでさっき、体裁ぶるのも忘れて、心底から喜んじゃったんでしょ?」
「まぁ、そうなんだろうけど‥‥屁理屈に筋を通すなよなぁ」
「それでは、気にしないで明るいニュ~スッ。仕事をさせてもらえそうなの、今か
ら向かえば明るい内に着けるから、とっとと出発しちゃいましょ」
「仕事って? またいきなりだな、一体何の?」
「この町で使えるおカネ、サイキやエイニマやファタルがないから、移動手段は歩
くしかないのよね」
「‥‥まぁ、働くことに文句はないけど、今スグ出発なんて自殺行為もいいトコだ
ろが。大体ここがどんな町かすら、全然見当もつかないってのに‥‥」
魁は、あらためて辺りに目を向けてみる──。
道路自体は広いものの、沿道に並ぶ建物が、好き勝手に突き出したり、奥まった
りしているのが目につく。
そのために、幅が一定ではない。数十メートル先では、馬車同士がすれ違うこと
ができずに、どちらが道を譲るかで、双方の御者が罵り合っていた。
そんな様子から、この町が計画的につくられたのではなく、まずは集団毎の居宅
が立て込んだ合間が、道路として整備されたことが推し量れる。
それで、道路に面することになった家家が店などを開き、建て替えか増築の際に
でも多層階にしたのだろう‥‥。
たずたずしくも、そうした具合で魁は当たりをつけていく。




