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しかし懸命になるだけ、どんどん記憶や認識が曖昧になってきて、そこはかとな
く混乱がぶり返されてもきてしまう。
「嘘だろ‥‥マジガチでイカレちまったのかオレ?」
「ハイ? 何を言っちゃっているのよ~」
「‥‥現実逃避願望が強すぎるところへ、だしぬけに成長したdooとか、リアル
dooの襲来なんて、強烈すぎるストレスを受けたもんだから、とうとう自ら意識
もできずに、妄想へと自閉しちまったってかオレは?」
そんな魁に、やや呆れ顔になったdooは、頭をふりつつのシュラッグポーズで
受け答え。
「一種の防衛機制が、統合失調へのトリガーになったとでも言いたいわけぇ?」
「‥‥別にっ。しらんけど‥‥」
「魁も、異世界転移なんて妄想を、逃げ込み先にしていたんだぁ? やっぱり今ど
きの、ありがち十代ね~」
「ウルセ~誰だって思うだろが、逃げ出すなら、ウザクサい自分の身近から懸け離
れてるトコへって」
「ウン。それはわかるけど」
「その極めつけが‥‥そうだよ、こんなカンジの、どうせなら人間がまだ獣に近い
シンプルさで生きてる、くだらない奴らなんか滅んで当然の、あたりまえな世界だ
っ」
「ならよかったじゃないの。そんな、魁にしてはこねまわしの少ない屁理屈で、こ
こを受け容れられそうなら、心配するほどのイカレ具合じゃないんだろうし」
「‥‥ったく。そりゃ心配されたかないけどさ、それはそれで、変な冷め方しちま
うよなぁ」
「ここも、違う意味で結構イカレているから、それに慣れていく内に、魁の方が、
自分のまともさに自信をつけていけちゃうんじゃない?」
「って‥‥マジガチなのか? もう、あのゲロキモすぎる軽犯罪者どもを、所詮子
供の悪フザケと野放しにしやがる無責任世界から、おさらばできるってことなのか
よっ」
「知らないけど、しょんぼりどころか清清しすぎて、顔が初めて会った時くらいに
輝いちゃっているんだけど~」
魁の嬉し顔はにわかに固まり、薄曇りだす。
「‥‥言うなよガキの頃のことは。dooだって、最初は見てくれ以外はオトナだ
ったクセに。オレに合わせる以上の世間ズレをしまくって、キャピついたガキへと
ギュンギュン成り下がったろが」
「ハイッやめましょ、お互い昔のことは。じゃぁじゃぁワタシも、ここでようやく
明るいニュースを伝えられちゃうわけねっ?」
dooも、満面に笑顔を輝かせてのきり返し。
「何だよ大げさに? でもその前に、祖母ちゃんに連絡できないか? 祖父ちゃん
と心配するんじゃないかって、それがオレも心配なんだけど」




