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vividy b(o/ud)dy doo  作者: ┃<∪┃∩>┃
ヴィヴィディ・ボディー・doo
47/59

003-01

 眩暈(めまい)を覚え、右手の指先で閉じた(まぶた)の上から押さえていたのは、長くても二、三

分のことだったはず──。


 だのに、眼球のヒクつきが収まったと判断して、目を開けた魁の前には業務用エ

レヴェーターの大きやかな扉ではなしに、町の風景が広がっていた。


「‥‥どして? 何だここ‥‥」


 そう驚愕を絞り()らした途端、町の喧騒けんそうまでが耳に飛び込んできて、魁を一層混

乱させる。


 石畳(いしだたみ)の道路を通り過ぎて行く荷馬車。

 一歩進むたびにこすれ鳴る、ミディアムアーマーを身に着けた者たち。

 よく響くことだけが際やかな、何かを売る客寄せの口上に、見る見る全力疾走で

逃げ去って行く男へ向けた女性のガナリ立て‥‥。


 魁自身がキョトつきまくって、目移りも激しくしているのだが、恰も複数の間違

い探し動画が、一つのスクリーンで同時上映されているに等しいこんぐらかり情況

へと、無抵抗なまでに引きずり込まれだしている魁だった。


 表口を並べ連ねる建物からも明らかに、ここがもう魁の生活圏ではないことを突

きつけられる。

 それどころか時代すら違うとしか思えない魁は、別段詳しくもないために、いつ

か地上波のTV番組で観たであろう、中世から残るヨーロッパの街並みや、そうし

た世界観を売りにするテーマパークが、もったりと想起(そうき)されてくる。


 ──が、ようやくどうにか現実的思考をしようと、ジタバタの悪戦苦闘に陥って

いく魁の意識は、向かいの角から沿道へと折れ現れた容貌魁偉(ようぼうかいい)に、いともサックリ

裂き散らされてしまう。


 身の丈は二メートルを軽く超えていそうで、筋骨も隆隆な体躯に、(いた)みが激しい

胴丸(どうまる)タイプの鎧を身に着けているその男──頭にヤマアラシを被ったような、ハリ

ハリの長髪を、無造作に分けて露わにする(ひたい)には、二本の鋭いツノが突き出してい

た。


「鬼じゃなくオーガよ~、あれは」


 余力で少しヨロけるほどの勢いで、魁は全身を半回転させふり返る──。

 魁に声をかけたのは、魁が(たたず)んでいた後ろの建物から出て来たdoo。

 

 その建物は、道路に面してこぢんまりとした店構えが並ぶ中の一軒であったが、

間口全開で商品を見せる店舗ではなく、密やかな事務所めいた雰囲気。

 また窓やガラス戸越しには、内部がほとんど窺えず、何の業種かなどは全くわか

らない。


「‥‥dooなのか? さっきの超──リアルそっくりさんじゃなく?」


 そうは言ったものの、魁も先ほど接した超美女子、偽リアルdooとの違いは、

印象からまで、瞬時に感取(かんしゅ)をし終えていた。


 画面上でしかあり得なかった、アホ毛がしっかりと立ち揺れている上に、服装は

まるでコスプレ‥‥。

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