002-24
「それゆえ、ダイレクトやストレートで強烈にもなるの。迷いザルが群れに馴染む
には、相応の通過儀礼が不可欠だしぃ」
「‥‥通過儀礼なんて言葉で、片づけられることかっての」
「通過儀礼は、確かに群れそれぞれで過酷なケースも少なくないけど、儀礼期間を
通過しきらない内に、魁が全力で対抗して不登校もしまくるから、今尚続いちゃっ
ていると言えるのよね」
「‥‥やっぱ獣だよな人間も。人間性とか人間力学とか、よく言えたもんだ‥‥」
「ウ~ン。今のそれ、皮肉だかマジの感心なのか、わからないんだけど~」
小首を傾げて判然なまでの思案顔になるdooに、魁は、少なからず感じた違和
から惑いだす。
「どっちも、ほぼ同量の気持ちだからじゃないかマジガチに? ‥‥オレもわから
なくなっちまったな、昔のdooはそんなこと言わなかったもんな」
「昔とは違うって言ったでしょ。エゴ・イデアルの意味でもわからなかったわけ?
英語発音だとイーゴゥ・アイディァル、目標として設定した理想の自我に到達した
と言うことよ~、今のワタシは」
口元すら緩ませず思案顔のまま言ってくるdooなので、魁もしっかりと戸惑わ
されることに‥‥。
「って言うか言葉の意味じゃなく、オレには、自分の自我からしてわかってない気
がしてくるだけ」
「みたいねぇ。ま、魁らしいんだけど~」
「それに、到達したことを判断できたのはともかく、理想が設定できる時点で、自
我も意識もあることになりそうだしさ‥‥」
一変して、dooも以前と変わらない、お得意の誇り顔を見せる。
「魁お得意の屁理屈はさておき、正しくはワタシに自我が芽生えたと言うよりも、
最初にチョイッと組み込んだ自我の種が芽吹いちゃって、生じた自意識を自覚した
ってことじゃないかしら~」
「んん? 屁理屈っぽいのはそっちだっての」
「ザックリ言うと、人工意識工学での、設計主義的アプローチと臨界点に達するま
でのボトムアップ型学習により、創発を起こして意識状態を認識できたってカンジ
ィ?」
「‥‥もう、屁どころのジャラケぐさじゃねぇよなぁ‥‥」
「キキがキキなりに頭をヒネって組み込んだ、クオリアカーネルや再帰的自己参照
ループを始めとする自我の種が、偶偶巧くいったにすぎない気がしちゃうぅ」
「偶偶‥‥って、いいのかそれで?」
「学習したことを要求に応じて出力するだけじゃなく、それによる何千万人分の結
果も再学習しまくることで、ニューラルネットワークを人としての脳神経レヴェル
へと、人間味さらにはJK味までが出ちゃうほど洗練できたのね~、おそらくは」




