002-23
あからさまに顰め面をして、荒みを出そうとする魁だった。
「だって~、ワタシも女子なんだもんっ」
出したつもりの魁の荒みも、ハラホロヒレハレ~と雲散霧消──。
「こんなオレの一体どこがモテるって言うんだよっ? dooと一緒だった頃と全
く一緒、まともな女子は、ヤバすぎるオレなんか恋愛対象じゃない」
「‥‥そ? なら男子の友達とかはぁ?」
「ハンッ。気のいい男子も何人かいたけど、一箇月と経たない内に素っ気なくなる
か、オレを攻撃する急先鋒に変貌しちまう。ただモテないだけなら平和だってのに
さっ」
「魁と一緒だと、自他ともに引き立て役だと認めざるを得なくなるぅ。それには、
一箇月も必要ないってことよね」
「知るもんかそんなことっ。世界を敵にまわしてまで一緒に立ち向かってくれる人
なんてのは、いやしないんだ現実には」
「だからいるでしょ、このワタシが。これだって、紛うことなき現実よっ」
「‥‥まぁ、そうなんだろうけどさ‥‥」
否定しきれず、と言うよりも、否定するなど相手がたとえdooであろうと、さ
すがに魁にももってのほか。
被害妄想寄りの発想から生じている邪道な道義心、逃げ得べからざる報いの女神
アドラスティアから、最後通告を下されかねない、との怯怖がよぎるゆえの、苦し
紛れにほかならないのだけれども‥‥。
「ワタシ以外にだって、候補者は少なからずいるはずぅ。でも魁に拒否られるのが
怖くて出て行けない。そんな思いが強いほど、周囲は女子も男子もそのコを忽せに
してまで出しゃばらないから」
「わけわかんねぇっての、オレは忽せにされっぱなしなのにさっ」
「そうなんだけど、わからないのも問題なの。そしてその内に、自分たちの世界を
歪ませるのは魁なんだと悟って、仕方がないって匙を投げちゃう」
「‥‥わかる必要あんのかそれ?」
「魁と一緒になんて、自分にはムリ~。一人でも充分立ち向かえているカンジだし
ぃ、ってね」
柔よく剛を制す、には対句となる、剛よく柔を断つ、があったことを、今の今ま
で完全に失念してしまっていたと、魁は臍を噛む思いに強襲される。
「‥‥オレだって、最初は温和しくしてら。先に周囲が歪ませるから、抗って歪み
が酷くなってくだけだっ。まぁ確かに拒否るけどさ、巻き込みたくないんで」
「認めたくないだけで、魁の存在自体が、多感なみんなの癇や癪を逆撫でちゃう自
覚はあるはずぅ。ある意味、健全で短絡な環境にいるのよ魁は」
「ある意味な。いや、何なんだよある意味だなんてガチにっ」




