002-22
「チッ。そうなんだよ。身内以外には笑える瑣末事でしかなくて、通年で見れば、
被害を受けない日数の方が多いんだけどさぁ」
「まぁね~。ガッコへ行かない日数を差し引けば、それは当然じゃない?」
「けどさ、その、気紛れにチョコチョコと、しょうもない嫌がらせをされるのは物
凄く堪えるんだよな、人間の狂気を痛感させられてさっ」
「人が狂気に駆られるのも、チョコチョコと気紛れだからぁ。それがまた何人もと
なれば、どうしたって痛感させられちゃうわよね~」
「ああ。傘を三回連続でパクられてからはもう、雨の日は登校しないって決めたく
らいだっ」
「フゥ‥‥行き着くトコまで行っちゃっているカンジよね~、モォ」
「祖母ちゃんがヴィニル傘嫌いなもんだから、ちゃんと何千円とかするヤツだって
のに、おかまいナシなんだぞ。自分の物として使えばバレるから、誰も見ないよう
なトコに隠して、そのままにするしかないんだろうにさ」
「傘は欲しいんじゃなく、嫌がらせ度の方が高そうよねぇ」
「‥‥そうだろうよやっぱ。しらんけど」
「でも、こっそり親しい仲間にもバレないように、自分の部屋まで持ち帰っている
かも。また一つ魁コレクションが増えたぁ、とかニンマリしちゃったり~」
「笑えるかってのっ。こっちはまたズブ濡れで帰るハメになるし、またまた傘を買
ってもらわなくちゃならない。祖母ちゃんの反応を想像するだけで、登校を続ける
気力なんか失せちまう」
「お祖母さんの反応が同じなら、不登校した方がナンボかマシ、ってことよねぇ」
「ってことっ。ムカつきが解消されるまで、独りで暴れきっておかないと、オレが
狂うっての」
「もう、かなり狂気の沙汰だと思うけど~。それでりーる~に、自分のことを完全
なガラクタなんて言っちゃったのね?」
「別に。あいつからだって、結構な狂気とガラクタっぽさを感じたけどなっ」
「でも、ムカつくたびに、すっかり解消されてきたせいかしら、顔つきに荒みが全
然表れていないしぃ」
「‥‥そ? なら、そう言うことだろ」
家を出てdooから離れた自分の選択と、これまでの、中高生の本分を捨ててこ
そ浮かぶ身もあれ、な対処の数数が、ともあれ決して間違いではなかったと、魁は
胸のどこか奥も片隅が、軽くなった気までしてくる。
「それどころか、イケ児童から第二次性徴期の荒波を難なく突破して、ビミョ~す
ぎる成長バランスを崩すことなく、イケハイティーンになっちゃってるぅ」
「ったく、dooまでいきなりかよ。ど~して女子ってのはそうなんだか?」




