002-21
「でしょうね~」dooにしては、我知り顔を抑えきった返答。
「そうやって、フツウに懐くだろう新参ザルへの興味が抑制されるもんだから、ま
ずは、女子から幼稚ぃ行動に出やがるんだよな」
「‥‥どう幼稚ぃの?」
「大概オレの持ち物が借りパクされて始まるんだ、消しゴムとか赤ペンとか、フツ
ウに貸し借りするような物から‥‥」
「それでそれでっ?」
「‥‥その程度、スグに忘れて貸しっぱにしちまうオレも悪いんだろうけど、一人
が手に入れると、なぜか周辺の女子までが欲しくなるみたいで──」
「シャーペンが消え、ペンケース自体が消え、ノートや教科書、体操着から制服ま
でも、ってわけぇ?」
「‥‥んだよ、ただの典型的パターンってか?」
とは不満をこぼす魁だが、着替えたあとの体操着が、バッグごとなくなっていた
時のこと。体育の授業あとに、制服が丸ごとなくなっていた時のことを思い出し、
発作的にそぞろ震う。
「そうね。その物自体が欲しいわけじゃなくて、魁と実際に関わってみたい欲求が
そうさせちゃうのよねぇ。その欲求をチョット満たせて喜んでいるのを見ると、私
も私もって」
「ガチでかよ‥‥」
「価値もわからず限定品というだけで、争奪戦に加わるニワカみたいのまでが出て
きちゃう。さらには、限定度がより高い物をゲットしたくなるってことね」
「だからって‥‥名前をちゃんと書いたかとか担任は言うけど、名前を書くからパ
クられるんだし、そう言う問題でもレヴェルでもないんだよなっ」
「なら、どういうカンジィ?」
「女子がパクってるならいいんじゃね? って、男子までパクりだしやがるから堪
らない。そうなるともう、オレじゃなくたっていいんだ別に。鬱憤を晴らす捌け口
にちょうどいいだけでさ」
「なるほどね~‥‥」
「パクる一人一人にとっちゃ、大したことないんだろうけど、塵も積もればで、オ
レ的には甚大な被害だっ」
「パクられまくる前段階があるはずぅ」
「街中でチャリを駐めれば、サドルを抜かれるわパンクさせられるわ。祖父ちゃん
の家だってのに、たびたび石を遠投されてガラスを割られるわ。ロケット花火を大
量に撃ち込まれることだって、毎年のようにあるっ」
「クフッ‥‥チョット可笑しすぎぃ、笑い事じゃないのに」
「‥‥笑ってろ、ったく」
「魁のお祖父さんの家は、もう山に差しかかっていて敷地自体が広いし、周りも鬱
蒼とした雑木林だから、何でも撃ち込み放題に思えちゃいそ~」
実に可笑しげに口元を両手で覆い隠すdooに、魁はムカつきつつも、口の滑り
をまたよくしてしまう。




